【美しい色の世界を生み出すFashion Directorにききました】やりたいことを実現するには、どうしたら良いですか?

Way of living Women's life Lifestyle Special Interview
2019.07.18

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19歳で独立してスタイリストに。誌面で自分の世界を作るまで

Text: Madoka Natsume / Photo : Spring Step

Spring Step : 佐々木 敬子さんは、スタイリストとして第一線で活躍し、自身のブランド「MYLAN」を立ち上げ、そして母として、ひとりの女性として、さらには、世界を旅するジェットセッターでもあります。カッコいい生き方をしている、多くの女性の憧れです。たくさんお話を伺いたいのですが、まず敬子さんがスタイリストの道を歩んだきっかけを教えてください。

 

佐々木 敬子さん(以下敬子さん) : 小学校5年生の頃、雑誌「オリーブ」を見ていて、スタイリスト特集があったんです。その誌面を見たときに、「スタイリスト」という職業を初めて知って、何て楽しそうな職業なんだって思ったんです。10歳の私にとって、雑誌の中の世界はとてもキラキラしていて、憧れでした。それで、高校を卒業してスタイリストの道を志して東京に来たんですけど、スタイリストの専門学校には入らずに、メイクの専門学校に入ってしまったんです。しかも、専攻は特殊メイク! 両親から『寮がある学校に入ること』という条件があったのでその学校を選んだのですが、なぜメイクの専門学校に入ってしまったのかは今でも謎ですね(笑)。

 

Spring Step : そんな過去があったんですね!そのままメイクの道に行こうとは思わなかったんですか?

 

敬子さん : 全然! まったく思いませんでした。それで、学校に通いながらスタイリストのアルバイトを始めたんです。18歳の時、マガジンハウス「anan」のスタイリストのアシスタントからスタートしました。次は講談社「VIVI」でお仕事を始めて、半年ほど経った19歳で独立しました。当時のVIVIでの仕事は、ホントにハードだったんですよ。1日で180体ぐらいの撮影があって、とにかくページが細かくて。リースして、コーディネイトして、撮影して返却して、またリースして…、の繰り返し。家に帰ってシャワー浴びたら、すぐ編集部に集合みたいな感じでした。それに、当時のVIVIはまだ現在のような確立したポジションではなかったから、正直、NGを出すブランドも多かったんです。確かに、1つのコーディネートは豆粒のような小さな写真だったので、ブランド側の気持ちもわかります。自分でも納得できて、さらにブランドにも喜んでもらえるような誌面構成になるようにしたかったんですよね。編集者に自分の意向を伝えて、理解してもらうために日々戦うと言っても良いくらいでした。

 

Spring Step : それは、担当誌面の全体をコーディネイトしたいという気持ちからですか?

 

敬子さん : スタイリストになるきっかけを与えてくれたのが雑誌でしたから、雑誌に対する想いのようなものがとても強かったんです。ページを読んでいる読者がワクワクするようなものを作りたい。難しいことではなくて、「いいね」とか「素敵」とか、そういうこと。単純なことですけど、そういう気持ちってすごく大切だと思うんです。8年間ほどVIVIを担当させていただいて、それから、宝島社「sweet」を担当するようになりました。私が参加したのは創刊から2、3号目ぐらいだったかな。編集長と「モードでもない、ギャルでもない雑誌を作りたいよね」って。まったく新しいジャンルのファッション誌を27歳という若さで大抜擢された編集長と一緒に、いろんなことにチャレンジして作りました。すべてをディレクションする連載を任されて、モデルからヘアメイク、カメラマンにいたるまですべて私が決めて、誌面を作るんです。本当にいい経験でした。

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MYLANは、とにかく自分の大好きな色を使うこと

Photo : Keiko Sasaki

 

Spring Step : 順調にスタイリストとしてのキャリアを積みながら、敬子さんがディレクションをするご自身のブランド「MYLAN」を立ち上げられたんですよね。ブランド創設は、昔からの夢だったんですか?

 

敬子さん : じつは24歳ぐらいからスタイリストをしながら、様々なブランドのディレクションのお仕事もしていたんです。その時から、いつかは自分のブランドを作りたいという目標がありました。30代でスタートしたいと思っていたんですが、ちょうど子どもが生まれた時期とも重なる38歳でMYLANを立ち上げました。とにかく、大好きな色をたくさん使うことと、原料と素材にこだわること。これは、譲れませんでした。いくつか大手企業の方からのお誘いもがあったんですが、私のこだわりが強すぎるのか、私の意向を全て取り入れようとすると、コストがかかりすぎる製品になってしまうと言われ…。だったら、自分ひとりで何とか立ち上げようと。でも、ブランドを始めるってすごく予算がかかるんですよ、自分の想像をはるかに超えるぐらいに(笑)。そのあたりは全くの素人だったんですよね。サンプルを作るために、スタイリストの仕事をして、そのギャラのほとんどをMYLANにつぎ込みました。自分が作りたいものが明確にあるので、そこは妥協したくなくて。今でも不安になることはありますが、でも、これは自分にしかできないと思っています。

 

Spring Step : それは、まったく新しいジャンルだったんですね。

 

敬子さん : 私にとって、MYLANでのクリエーションは、服をつくっているという感覚はあまりなくて、とにかく色に対しての「ときめき」から始まっています。海外から帰ってくると、「日本ではどうしてみんな黒を着ているの?」って。MYLANを通じて、世界に色を広げたい、そんな思いで作っています。

 

 

Spring Step : MYLANの色づくりは、どんなインスピレーションから生まれるんですか?

 

敬子さん : うーん、どこから生まれてくるんでしょうね、考えたことがなかったかもしれない。きっと、たくさん旅をする中で出会っているんだと思います。とにかく色が大好きだから、自然にインプットしているんでしょうね。

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同じ女性として、何かサポートしたい。念願のフェアトレードが実現!


Spring Step : 
MYLANでは今回フェアトレードを通じて伝統文化や技術の継承を行う新プロジェクト「MYLAN THE EARTH」を立ち上げられましたよね。伊勢丹新宿店で、4日間限定で開催されたPOP-UPストアは大盛況で、発売から数時間で完売する商品もあったそうですね。私もPOP-UPストア初日の午後に伺いましたが、その時にはすでに残りわずかな状態でした。

 

 

敬子さん : 予想以上の反響で私も驚きました。すぐに欠品してしまったので、その対応に追われるほどでした。ブランドの名前でもある「MYLAN」は、実はネイティブアメリカンの言葉で「地球とともに」。という意味なんです。ものづくりを通じて地球や社会に還元したいという思いは長い間持ち続けていて、MYLANを立ち上げる前には、友人たちと社会福祉のNPO団体を立ち上げたこともありました。自分のブランドを設立した時は、ブランドを通して何か行いたいと思っていたんです。でも、日々の業務に追われているうちになかなかそのチャンスが巡ってこなかったんですが、撮影で訪れたアフリカで、ガーナやケニアで雇用創出や学校建設に取り組むブランド「CLOUDY」とつながるご縁をいただいたんです。それからは、とんとん拍子で話が進んで、ケニアやガーナの女性がひとつずつ手編みしたカゴや巾着を使ったアイテムを作ることができました。

 

 

Spring Step : そのカゴや巾着で得られた収益はどのように還元されるのですか?

 

敬子さん : 女性の生理用品のために使われます。私もこの取り組みをきっかけに知ったことなんですが、その村で生活する女性は、ナプキンがなくて、葉っぱをあてているんです。衛生面も良くないし、服に血がついてしまうから、恥ずかしくて学校も行けない女の子もいると聞きました。それがきっかけで不登校になり、教育が遅れてしまう…。私たちが暮らす日本では考えられないことですが、その村では今もそうした女性がいる。同じ女性として、何かサポートしたいと思ったんですよね。初めてのプロジェクトでしたが、おかげさまで反響があったので、今後も活動を続けていきたいと思っています。

 

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ブランド設立当初から夢見ていた、丹後ちりめんでドレスを作る

Photo : Spring Step

 

Step : ブランド設立から6年目を迎え、フェアトレードのプロジェクトを実現されたいま、敬子さんが、次にチャレンジしたいと思っていることがあればぜひ教えてください。

 

敬子さん : 実は、丹後ちりめんを使ったドレスを作ろうと思っています。知人の紹介で素晴らしい丹後ちりめんに出会うことができたんです。それで、さっそく丹後を訪れていろいろお話を伺ってみたら、「丹後ちりめん300周年」という記念の節目に合わせた企画を検討されていて、それでMYLANでドレスを作ってはどうかとお話をいただいたんです。もうホントに嬉しかったですね! というのも、これはまた信じ難い話ですが、私はブランドを立ち上げた時から、丹後ちりめんでシルクのドレスを作りたいと思っていたんです。でも東京でちりめんを探しても思うようないいものになかなか出会うことができずに、時間だけが過ぎていました。そうしたら、こんな夢のようなお話をいただいたんです。これは、奇跡だと思います。

 

Spring Step : なんと!ブランド当初からとはすごいですね!

 

敬子さん : そうなんです。だからこのお話をいただく前から、色やカタチなどかなり具体的にイメージはできているんです。それほど、私はちりめんの絹の魅力に取りつかれています。日本の伝統工芸のちりめんの色や素材の美しさをひとりでも多くの人に伝えたい。それをMYLANの色の世界を通して、広めたいですね。工房も見学させていただきましたが、職人の方々の技術の高さに尊敬するばかりです。ドレスは、染色されたちりめんから作るのではなく、色を選んで染めてもらうところから始まるので、今からとてもワクワクしています。予定では、来年の春夏に登場する予定です。

 

Spring Step : MYLANが作るちりめんドレス、今から期待大ですね!

 

敬子さん : 私はちりめんのほかにも着物にも興味があって、MYLANでもいつか着物のラインも作りたいと考えています。もう少し身近なところで着物を楽しむことができればいいと。MYALANらしい、カラフルな色を使った洗練された着物を作りたいですね。

 

Spring Step : 最後に、これから新しいことにチャレンジしてみたいと思っている方々に向けて、想いをどんどん実現されていらっしゃる敬子さんの仕事に対するポリシーなど、ぜひお聞かせください。

 

敬子さん : 私が仕事をする上で大切にしていることは、自分が好きなことを楽しんでやること、人に喜ばれること、世の中の役に立てること。この3つを軸に仕事をやると、いい仕事の循環が生まれると思っています。

 

 

PROFILE

佐々木 敬子さん Keiko Sasaki / スタイリスト・ファッションディレクター 

広告やCM、雑誌など幅広いジャンルでスタイリストとして活躍。常に時代を牽引し、女性の個性と魅力を引き出すエッジィでリュクスなスタイリングは、女優やモデル、アーティストから絶大な支持を得ている。ファッションディレクターとしての顔もあり、2014年よりスタートした自身のブランド『マイラン(MYLAN)』は、大人の上質なライフスタイルを提案、常に時代の先駆けたコレクションを展開している。2019年6月にデビューしたジュエリーブランド「スーリヤ(SURYA)」では、クリエイティブ ディレクターに就任。著書は『Ketty’s FASHION LIFE』(宝島社出版)など多数。

@keikosasaki_mylan

www.house-of-mylan.com

https://see-surya.com

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