12万人が見守る! 猫と子どもの暮らしを発信する絵本作家に聞きました。こどもの価値観の育み方とは?

Way of living Women's life Lifestyle Special Interview
2020.02.13

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猫の「かわいい!」を社会現象に変えるまで

Text & Photo / Spring Step 

 

Spring Step : 太田メグさんは、猫好きなアーティストの方々と一緒に、猫好きの人はもちろん、そうでない人にも広く愛されるとても素敵な作品や製品をCat’s ISSUEという移動型ギャラリーやポップアップストアで発表されてきました。そして、この猫イベントは記録的な入場者数を作り、数々の伝説を作られましたよね。その後、大手メーカーと手がけたコラボ製品は、現在も大ヒットしているわけですが、今回は息子さんのこんちゃんと猫のコムちゃんを主人公にして、ご自身で絵と文を書かれた絵本「こむたんとぼくのすてきなしっぽ」を出版されましたね。

 

太田メグさん(以降メグさん) : Cat’s ISSUEは、アーティストと私たちプロデュースチームの力を結集し、猫の保護活動の啓蒙、そして猫の保護活動をしている団体へ売り上げ金の一部を寄付する活動を行ってきました。

 

数年前までは、「猫を飼いたいな」と思ったとき、ペットショップに買いにい行くことしか選択肢がないと思っている人たちがほとんどでした。でも、保護猫をもらいに行くという選択肢もあるんだよ、ということを知って欲しかったのです。知識のある方々はすでに知っていたかもしれませんが、そこまで野良猫や保護猫のようなペット以外の猫の存在について興味をもっていない人たちにどうやって伝えるか、ということが私たちの課題でした。

 

たまたま手にとってみたら、猫の保護活動を支援しているブランドで、購買した自分もその活動に参加した気持ちになってもらい、意識を高めて行きたいと思ったのです。

だから、だれが手にしても、「かわいいな!」と思ってもらえるものを、と考えると、もうそれはクリエイティブの力を借りるしかないわけなのです。

猫好きのクリエイターさん達に、猫支援の一環として私たちのような小さなプロジェクトでも参加してもらうことで実現しました。

 

Spring Step : Cat’s ISSUEのオリジナル雑貨は、猫好きの目線から見ると、これ絶対に猫が好きな人が作ったな!ということがわかります。そして猫シールのシリーズなどは、本当にどれもかわいくて、集めたくなりますよね。

 

メグさん :  保護団体への寄付が目的だった猫シールプロジェクトでは、変顔の猫ちゃんと、可愛がられている幸せな猫ちゃんをシールにしたんです。有名なインフルエンサーの猫ちゃんの人気を保護猫にわけてもらおうというものでした。CHICOさんちのベティちゃんが「パリに住んでるCHICOさんの家の子」というように、あの猫達には1匹1匹ストーリーがあるんです。「この子は大阪に住んでいる子で….」といった感じです。読者モデルのような存在になっていたかもしれません。

このプロジェクトでは、多くの方にプロジェクトへの親近感を持ってもらうことができました。

 

また、おしゃれな猫好きのインフルエンサーさんが保護猫を引き取ってくれたり、からだの模様にふしぎな点や模様がついているような変顔猫ちゃんたちに「神さまのいたずら」というストーリーで、「私にしかわからない、運命的に出会った猫のかわいさ」という、これまで「かわいくない」レッテルを貼られてしまった変顔猫達のかわいさを見出してもらうこともできました。こういった色々な方法で、もともとのいわゆるブランドとしての血統証ではない猫の価値を知ってもらうことができたと思います。

 

Spring Step : 神さまのいたずら!とは、名前もすばらしいですね! 変顔猫ちゃんたちに新しい価値観を作ったのですね。日本では、今まで誰も見向きをしなかったことでも、誰かが大声で「良い」というと新しい価値観が誕生することがありますよね。

 

メグさん :  そうかもしれませんね。また日本では野犬が存在しなくなりましたが、猫の存在は少し微妙で、家で飼われている猫以外に、地域猫という猫達がいます。その猫達が増えすぎたりしないように、ワクチンや避妊手術をして面倒みている人たちがいるということを知ってもらいたいと思ってきました。

 

そして令和1年になって、Cat’s ISSUEが当初目的にしていた「場所」にたどり着いたな、とふっと感じたんです。その理由は、猫を飼う人の数が圧倒的に増えたこと、2月22日の猫の日がスタンダードになりつつあること、私たちが頑張らなくても、他の猫インフルエンサーさん達が活発になったこと、企業も動いていますし、支援先の団体が中心になって行っていた「動物の愛護及び管理に関する法律」の見直しについても、署名活動がやっと実を結んで法律が一部改正されました。

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次なるミッション

 

Spring Step : 絵本の製作は、メグさんの次なるミッションの第一弾なのですか?

 

メグさん :  はい。次に考えていることは子育てについて。猫で本当に多くの方が集まってくれました。私の12万人のフォロワーさんの興味の対象は、投稿の「いいね」の数やコメントをみればよくわかります。それは、女性が仕事をしながら子供を育てることだったり、猫がいる環境での子育てについてだったり、そのみなさんの持つ興味と私のモチベーションと同じ方向のもので何かと、思い倦ねいて、今できることはなにかな? と考えて出てきた答えが絵本でした。

1つは、自分の息子に残せる財産として。またもう1つは、自分の2人(猫のコムちゃんと息子のこんちゃん)に対する気持ちをお話しにして残しておきたかったのです。

 

私はコムちゃんと13年暮らしてきて、猫に支えてもらいながら暮らしていると感じています。猫を家族に迎えて暮らしている人たちもよくそう仰るのですが、猫が人間の支えになってくれるから、猫に助けてもらいながら冒険に出る話を書きたかったのです。

いろいろな困難にであうけれど、最後は自分の人生にぴったりな物とは何かを探し求めるお話です。

そして、ぴったりなものをみつけた瞬間に「これ!」だとわかるんです。

これはある意味、自分探しの話でもあるんです。私が抱いてきた自分だけの価値観を見つけたいという想いから「探す」話を1冊目にしたかったのです。

 

 

Spring Step : 猫と暮らす私自身が読ませていただいて、その想いにシンクロするところがたくさんありました! 私も猫の存在に助けられながら暮らしているので、自分がこんちゃんになったみたいな気持ちで読ませていただきました。

 

メグさん :  親になって気がついたことは、私の育った家庭環境によって作られた自分の価値観がそのまま子供に伝わっているということ。自分の子供はその価値観を判断基準として育っていくわけです。

 

私もついつい「男の子だから!」とか「女の子だから!」とか言ってしまうことがあります。でもジェンダーの基準がこれだけ変わりつつあるこの世の中で、私の価値観の基準は古すぎるなと思うことが度々あります。時代はどんどん変化していますから、新しい時代への価値観のアップデートが必要なのに自分の古い価値観が染み付きすぎて、ついつい古い価値感を基準とした反射的な言動を取ってしまうんです。でもちゃんと勉強して、自分の古い価値観を一旦フラットにして、新しい時代の感覚に対して自分がどうやってアップデートするか。そのためには、まずは自分のことを考えなくてはなりません。これが親になるということなのかもしれないと私は思っているんです。

 

Spring Step : どういう子どもに育ってほしいかと未来を見つめて考えた時に、まず自分の持っている常識と急速に変わりつつある世の中の常識のギャップを見て、それをどうやって埋めようって! 思ってしまいますよね。

 

メグさん :  子供は感受性が素晴らしいから、私のことを全てキャッチしています。だからこそまずは「自分」について考えなくてはいけないと思うんです。私は自分の息子に対して、こういう風に育ってほしいという想いよりは、自分でも驚いてしまうような、奇想天外で、面白い人生を歩んでほしいと思っているのです。

古い価値観の話に戻りますが、先日、スプリングステップのニュージーランドの女性首相の記事を読んで、自分の”時代遅れさ”にまた気づかされました。自分の息子は、ニュージーランドの国民が今スタンダードだと思っていることが常識だと思えるような新しい価値観を享受した子供に育ってほしいと思いました。

 

身近な例で言うと、我が家の近所にもあるAEONでは、レジ袋が再利用できる素材になり、有料化されたことなどでしょうか? 自分のバッグを持って買い物に行くことがスタンダードになる。それだって大手のAEONがやることで、時代のスタンダードが変化していることでしょう?

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日常を見せて伝えていきたいこと

 

メグさん :  私は自分のインスタグラムでは、日常を比較的そのまま見せています。ある時自分でも、どうしてこんなに日常を公開する必要があるのかな?って思ったことがありました。そして自分の考えを辿ってみたんです。

 

私は20代のころから、自分以外の家族の暮らし方を知ることにとても興味を持っていました。私という人間の価値観は、自分が育った環境によって作られ、私はそれしか知らずに育ったので、それが当たり前だと思っていますが、全く違った家庭環境で育った人の話を聞いて、自分とは全く違う価値観を知ってびっくりすることがあります。その違いに個人的に興味があって、小説をたくさん読みました。小説の細かい描写を読んでいると、自分と違う「あたりまえ」が見えてきます。例えば「サンドイッチの食べ方が自分と全然ちがう!」とか、恋人に対して嫌悪感を持つ時の判断基準とか、愛情表現の仕方とか。

 

私のインスタを見て、共感してくれる人もいると思いますが、私と同じように自分と違う「ふつう」を見て驚く人もいると思うんです。例えば「こんな風に子供と猫を育てていいんだ」とか「猫ってゲージに入れずに育てていいんだ」とか、「猫の毛とか心配そうだけど、この人たち病気にはなっていないな」とか。私の肩に力が入っていない暮らしぶりを見て、「なんだ、こんなんでいいんだ」って思ってもらえたらいいんじゃないかと思っているんです。

 

Spring Step : メグさんが出会ったような新しい価値観に出会うきっかけになるということですか?

 

メグさん : そうなんです。価値を見出す部分が自分と違う! と思う人もいるだろうし、そんな風なものの見方があるのか、と目に留めてくれる人もいるかもしれない。それだけでも、染み付いた価値観から新しい価値観へと自然にシフトしていくきっかけになると思うんです。

インスタにあげるからって気張ってお掃除したりせずに。頭で考える理想的な暮らしではなく、この力の抜けた家族の暮らしぶりで、楽しく、笑って、面白いことがいっぱいあれば良いね! と言うことをなるべく自然に伝えることができたらいいなと思っています。

 

Spring Step : 最後に、子育てをしながら理想を追い求めて、全部完璧に! と頑張りすぎちゃうママたちへ一言お願いいたします。

 

メグさん : 綺麗で、おしゃれで、お料理もできて、情報通で、なんでも出来るしっかりものでなくても、家族や仲間とわははと笑える楽しい瞬間を大切にさえしていれば、きっとだいたいのこと(例えば、最近お料理できてないとか、せっかく作った料理が焦げたとか、セーターに毛玉があるとか、子供の寝る時間が遅いとか、給料安いとか、例えもっと深い悩みでさえも)なんとかなっていく気がしています。私のズボラな性格でもやってこれているから、この素敵なサイトにたどり着いて記事を読んでくださっている皆さんだったら、きっと大丈夫! 誰かに怒られたり、逆につい怒ってしまいそうなことでも笑える方向に変えて、こっそり後でなんとか処理しちゃおう! よかったらお試しください。

 

 

PROFILE

太田メグさん Megu Oota / 「Cat’s ISSUE」代表、キュレーター、ディレクター

猫好きクリエイターとともに、猫への「偏愛」を発信するプロジェクト「Cat’s ISSUE」(キャッツ イシュー)で、展覧会や猫新聞『The Cat’s Whiskers』を出版したり、ポップアップストアでの商品販売や、さまざまな猫企画のプロデュースを行い、利益の一部は猫の保護活動に支援している。白いふわふわの猫コムタンの飼い主。息子とコムタンの日常を「#コムとセコム」としてインスタグラムに公開中。夫、息子、コムタンと都内で暮らす。2019年10月に初の絵本「こむたんとぼくのすてきなしっぽ」を出版。

インスタグラム:@megmilk5628

 

 

 

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