自分にとっての美の価値観を問い直すとき 安倍佐和子

Women's life Beauty
2020.07.02

Beauty Journalist/Editor 安倍佐和子

Image : Sutterstock 

 

これまであたりまえだったことや正しいと信じてきたものが、じつはそうではなかった? 誤りだった? そんな疑問を投げかけられる日々が続いています。歴史的なパンデミックの渦中であぶり出されたのは、今まで見えてなかったもの、見て見ぬふりをしてきたことかもしれません。そのひとつが人種差別への抗議運動“BLACK LIVES MATTER”です。世界中に広がるこのムーブメントは、肌色による差別、格差社会やヘイトなど、ずっと見て見ぬふりを続けてきたもの。そして、“BLACK LIVES MATTER”は、美の価値観さえ見直すきっかけにもなっているのです。

 

すでにご存じかもしれませんが、米国の大手化粧品メーカーが販売中の肌色を均一にする製品から、ホワイト/ホワイトニング、また、色白を指すフェア/フェアネス、明るい色合いを指すライト/ライトニングの名称や言葉をすべて削除することに。この潮流は米国のみならず、EU圏にまで波及。つい先日も、世界最大手のメーカーが、自社製品からホワイトニング等の文言をすべて削除することを表明したばかりです。多様性という時代背景を考えたら、ごく自然な流れだと受け止めていますが、日本人にとっての美白の概念とは少々異なるもののよう。

 

一方で、日本で古くから言い伝えられてきた「色の白いは七難隠す」ということわざのように、知らず知らずのうちに、白肌には価値があると思い込んでいた人がいるのも事実。その裏には差別という罠がこっそり隠れていたかもしれないのに。そう考えるととても複雑な気持ちです。

パンデミックから浮き彫りにされたのは、肌色の価値観。これまであたりまえだった意識が改めて問われています。それでもあなたは白くなりたいですか? 美白は必要ですか、と。

私自身は、やっぱりシミに抵抗があるので、シミを作らせない、増やさない美容法には賛成ですが、色白であることより、どんな肌色でも透明感があることのほうが大事。自分にとっての美の価値観は明確なつもりです。そして、他人と比較することが、まったく意味をなさないことも。

 

前回、人にも自然環境も心地いいクリーンビューティの流れが台頭してきているというお話を書かせていただきましたが、じつはクリーンビューティとはもっと広義で、人の目による美醜や優劣まで一掃しよう、そう教示しているのではないかと思うことも。日本の化粧文化から美白という言葉が消えることには少々、懐疑的ですが、トランスペアレンシー、ジャスティスがより重要視されていることは確か。だからこそ、今まで正面から向き合ってこなかった自分の内なる声にそっと耳を傾けてみる。自分にとっての美しさの真価とは? いまがそのタイミングなのだと思います。 

 

 

PROFILE

安倍佐和子 Sawako Abe/ビューティエディター、美容ジャーナリスト

化粧品会社、出版社勤務を経て独立。日本初の美容月刊誌の創刊に関わり、ビューティエディターとして活躍。現在は女性誌や美容誌で編集・執筆活動を続けるほか、広告、化粧品マーケティングなど幅広い分野で活躍。JPHMA認定ホメオパス、フィトテラピーアドバイザーの資格を持つ。著書に「安倍佐和子のMy BEAUTY Rules 人と比べない美人力の磨き方」(講談社)がある。

Instagram:@abesawakobeauty

雑誌:

VOCE, MAQIUA, Figaro Japon, Marisol, ecla, SUPER, GINZA, Presious, 25ans, mi-molet, WWD Beauty etc.

広告制作:

HELENA RUBINSTEIN, SHISEIDO, LANCOME, POLA, KANEBO,GUERLAN,KOSE, P&G, SK-Ⅱ, FLOWFUSHI etc.

テレビ:

テレビ朝日「BeauTV VOCE」新作コスメ紹介  2010年~2012年

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