【人生はDIY②】「私の人生はこんなものだ」という思い込みを疑ってみよう 伊藤菜衣子 連載

Way of living Women's life Lifestyle
2021.08.26

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思い込みを疑ってみよう

Text & Photo : Saiko Ito 

 

「ふつう」とされるロールモデルにフィットするように自分の人生を型にはめることが当たり前だと思っいることが多々ある。そんな空気にあらがって、自分の人生の理想のカタチを思い描いてはDIYしてきたけれど、一歩すすむごとに、また何かに囚われている自分に気がつくというのを繰り返しています。

 

その「ふつう」ってどうやって生まれたんだっけ?誰が決めたんだっけ?そんなことが、どうやら人よりも気になってしまう暮らしかた冒険家 伊藤菜衣子の衣・食・住・家族・仕事などの「ふつう」を疑ってみたエピソードを毎回紹介します。

 

第2回は、暮らしかた冒険家、写真家、編集者、映画監督、コラムニスト…、職種や技能の垣根を飛び越えて「伝えたいことを伝える」を仕事にしてきた経験から、ちょっとずつ見えてきた諦めずになりたい自分に近づく方法をおすそ分けします。

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「私の人生はこんなものだ」というのは本当なのか?

 

わたしは大学を1年ちょっとで辞めたので、最終学歴は高卒です。なので人生のあちこちで、エントリーすることなく足切りされてきました。そのために、正面玄関ではなく、裏口を探しては、ドアをこじ開けてきたような感覚があるし、それをせずに諦めたこともそれなりにある。だから「私の人生こんなものだ」と思うことも多かった。

 

ふと「人生100年だ」と引きの視点から考えたとき、たったの20年くらいで培った学歴や就職先で、自分の可能性を決めてしまっていないかな?と思ったのです。終身雇用が当たり前という価値観ならば、それは定年退職までのあれこれを決めるくらいの重大なことだったかもしれない。だけど、それでも30〜40年も残っている。

 

人生の約1/5で、定年退職までの人生が決まってしまう感じも、定年退職からの人生がまた一から白地図なのも、人生100年時代にはそぐわないよな、と感じるのはわたしだけでしょうか。

 

 

 

19歳のときに、新聞記事で見つけたクリエイティブディレクターのマエキタミヤコさんに連絡を取ったことがきっかけで、その後何年も関わり、クリエイティブディレクションや撮影、ウェブディレクションを担当することになった「100万人のキャンドルナイト」

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人生100年時代や終身雇用が崩壊していく日本社会で、これまでのように学歴や今あるスキルや人脈で人生を決めつけてしまうのはもったいない

 

人生のタイムリミットや仕組みが変わると、今までの固定観念は、意味がなかったことになるはずです。でも、わたしは、相変わらず縛られているなぁ、と感じることも多々あります。

 

わたしの中での変化といえば、仕事は目先の高年収よりも、健康的に細く長く働けるほうが良いと考えるようになったし、老後が40年もあるならば、パートナーは一緒に過ごす時間が必然的に長くなるので、お金がかからない日々の地味な趣味が合う人がいいな、思うようになったことです。これからは、この例に限らず、いろいろなことが今までのモノサシでは測りきれなくなっていくのではないでしょうか。

 

自分がコンプレックスを持っていることが、古臭くなってはいないかな?と常々考えてみることは大切だなぁ、と思うのです。そして、人生は長いうえに、インターネットでどんな情報にも、人にもアクセスしやすい今、持っていないスキルや人脈だって、いつからでも習得できる機会はたくさんあります。

 

 

 

高気密高断熱な家づくりに興味を持ち、勉強をしまくり、仕事をもらったり、情報発信をしてみた結果、家づくりにくわしい素人(伝えることはプロ)という立ち位置で、全く持って未経験の書籍の編集を担当することになった「あたらしい家づくりの教科書」(新建新聞社)

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人生を3部構成とみて1部30年の時間軸で考えてみる

 

今、わたしは37歳。人生は100年とします。そうすると、リタイアと言われる65歳は約30年後。そしてそこからもまだ死ぬまで約30年もある。そう、65歳は、今から死ぬまでの中間地点でしかない。「あと60年もある」と思うと、わたしが抱えている悩みやコンプレックスの解消、野望を実現することは、「絶対に無理なこと」じゃないかもしれないとイメージができるものが増えてくる。そうやって、「できる」OR「できない」の時間軸を明確にしたり、設定を変えてみると、自分の可能性は、ぐっと広がるような気がしたのです。

 

「遅すぎるかもしれない」なんて半信半疑だって、始めて、努力の方法を試行錯誤して、諦めなければ、何かしらの形にはなっていく。そして、そういう挑戦癖がついていくたび、小さな力で、新しいことが習得できるようになっていく。そんなふうに65歳までやっていたら、老化によってできることは減っていくけれど、それと同時にできることも増えていくんじゃないかな、と仮説を立てています。小さくても自分の成長を喜びながら、達成感を感じながら、そんな人生を最後まで送れたらいいな、なんて思うのです。

 

 

 

札幌国際芸術祭のまとめ展的な気持ちで札幌のD&Departmentで行った個展

 

 

 

21_21 DESIGN SIGHTのキュレーターの目に留まり企画展「雑貨展」にて「終わらない自問自答」という作品に繋がった(Photo:大谷宗平/ナカサ&パートナーズ)

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「もう遅すぎる」「自分なんて」という思い込みを跳ね返す6か条

最後に、自分の環境を変化させるときに役立ちそうなTipsを紹介します。早々に正規ルートを諦め、常に裏ルートを考えて、どうやったらあそこに早く行けるかな、と逆算しまくってきた裏技的経験談でもあります。

 

  1. 情熱
    …それがやりたいんだ!ということに、自分でブレーキをかけない

  2. リスペクトする人のそばにいられるスキルを身につける
    …それが雑用や掃除でもいい(すごい人はふつうのことが苦手ORやらない)

  3. 人がやりたくないことを進んでやる
    …よくトイレ掃除と事務所の整理整頓をしていた

  4. メインストリームと少しずれた場所にいる
    …いま人気絶頂なところよりも、これからそうなりそうなところを目がけていくと競争率が低い

  5. 他人と比べまくって、少しでも優位なところを伸ばしまくる
    …優位なところが見つからない場合は、自分の観察がまだまだ甘いんだ、とポジティブに考える。ネガティブなことを今さら反省しても改善しようと思っても先に進まないので、そこは潔く諦める

  6. 自分でよく考え意見は持ちつつも、それが絶対とは主張しない
    …人と意見交換できる状況を常に持ち合わせておく

 

 

中途半端な歳から、いろいろなことを始めてきたのですが、上記の6つで道は拓けたのかなと自己分析しています。

 

結局のところ、いろんなことをやってきて思うのは、「わたしの人生はこんなものだ」と決めつけているのは自分であることがほとんどだと考えるようになりました。そんなふうに思うことがあったら、人生が長いこと、自分の情熱にブレーキをかけているのは自分であることをぜひ思い出してみるといいのかもしれません。

 

最後に、19歳のときに新聞でみたことをきっかけに門を叩き、関わることになった100万人のキャンドルナイト事務局が解散するときに「映画でもつくってみなよ」と幹事に言われ「映画?!」となりながら試行錯誤でつくった映画の予告編がこちら。人生は、想像もできないようなところに繋がっていくんだな、といつも思うのです。

 

コロナが落ち着くころ、また上映会ができたらいいな。

 

 

以上、「わたしの人生は可能性にあふれている」というエピソードでした。コロナ禍で、仕事や価値観、家族関係などいろいろな変化があると思います。一歩踏み出せずにいたことを、新しいモノサシで考えてみるきっかけになれば幸いです。さて、次回も思い込みを疑ってみるコラムを執筆予定です。どうぞよろしくお願いします。

 

過去記事一覧

【人生はDIY】「賃貸だから不自由」という思い込みを疑ってみよう

【暮らしかた冒険家にききました】エコハウスってなんですか? 家づくりの前にそもそもやっておくべきこととは?

【暮らしかた冒険家に聞きました】WITHコロナ時代 私たちの新しい働き方とは①

【暮らしかた冒険家に聞きました】WITHコロナ時代 私たちの新しい働き方とは②

 

PROFILE

伊藤 菜衣子 SAIKO ITO / 暮らしかた冒険家

「未来の“ふつう”を今つくる」をモットーに暮らしにまつわる違和感をアップデートし、言語化を試みる。SNSとリアルを泥臭く奔走し未来の暮らしを手繰り寄せていく様を、坂本龍一氏は「君たちの暮らしはアートだ」と評す。冒険で得た気づきを書籍、映画、アート、企業の広告制作など様々な方法でアウトプットしている。

 

10年で3軒の家づくりを経験。その経験を生かして編集と執筆を手がけた「あたらしい家づくりの教科書」「これからのリノベーション-断熱・気密編」(共に新建新聞社)などがある。

 

メディアプラットフォーム「note」にて「#人生とは自分にかかっている呪いをひとつひとつ解いていく冒険」にて結婚や子育てを通して感じるジェンダー問題やコンプレックスに向き合う赤裸々なコラムを連載中。最近の人気記事に「34歳バツイチ子持ち、マッチングアプリでハイスペ男子(現夫)と付き合うまでの一部始終|都合のいい女にならないと結婚できないという #呪いを解く冒険」がある。 https://note.com/bouken_life/

 

Instagramは @saikocamera

 

 

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