【コスメリユースプロジェクト代表に聞きました】エシカルなクレヨンって、 一体どんなものですか?

Way of living Women's life Beauty Organic Lifestyle Ecology Special Interview
2021.11.11

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美容業界が抱えている“カラーコスメのゴミ”問題に直面

TEXT: Tokizawa Shiho, PHOTO: Michika Mochizuki

 

Spring Step:大澤美保さんがこの夏立ち上げた「COSME no IPPO」。余ってしまったカラーコスメの中身に新たな生命を吹き込み、クレヨンとして再利用する新たな取り組みが注目を集めています。今回は、このような革新的なプロジェクトを立ち上げるまでに至った経緯や、そこに込められた思いなどを伺えたらうれしいです。


大澤美保さん(以下大澤さん):私がPRとして美容業界に入ったのが、2010年のことです。そこから10年以上、編集者さんやライターさん、美容家さんなどとお会いする中で、「毎シーズン、コスメの棚を整理するのが大変!」というお声を聞くことがありました。彼女たちのもとには職業柄、シーズンごとにたくさんの新作コスメが送られてきます。ですがどんなに頑張っても、実際にコスメを試せる顔はひとつだけ。物理的にすべてを使い切ることはできず、泣く泣く処分しているものもあると。私自身もコスメが好きでそのようなジレンマに直面していたのと、シーズナルプロダクトや開発部門、店舗のテスターなども廃棄せざるを得ない現状を知り、どうにかして、この問題を解決したいと思うようになりました。


Spring Step:なるほど。それは確かに深刻な問題ですね。


大澤さん:はい。とは言いつつもしばらくは行動を起こせずにいたのですが、昨年の9月に夫とガラスびんのブランドを立ち上げた際に、“動き出すこと”の重要性を強く感じたんです。それが大きなきっかけとなり、具体的な活動を開始する決意をしました。


Spring Step:ガラスびんのブランドというのは、具体的にどのようなものなのですか?


大澤さん:“ガラスびんのある生活”を広めていくことを目的として立ち上げたブランドです。ガラスは割れる、重いというマイナスイメージがありますが、自然に還りやすいエコな素材。ガラスびんをマイボトルにしたり、調味料入れとして活用するなど様々な使い方ができます。ガラスびんは繰り返し使えますし、使うたびに愛着も湧いてきます。この新たなブランドをスタートさせたことにより、様々な立場の方の意見を聞く機会が増え、私自身の考え方もどんどんブラッシュアップされていきました。実際に行動を起こすことで周りも自分も変わっていくんだという感覚がすごくあって……。そんな時にふと、これまでの仕事を振り返り、“そういえば美容業界にもゴミ問題があったな”と思い出したのです。私自身もコスメをゴミにしてしまうことに対しては罪悪感を感じていましたし、コスメが大好きだからこそ、その価値を循環させたい! ひいては美容業界のゴミゼロを目指したい!と強く思い、使いきれなくなったカラーコスメを画材に変えるプロジェクトを始めようと決意しました。

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エシカルクレヨンで、子供達と未来について考える機会を

 

 

Spring Step:いろいろな選択肢があったかと思いますが、最終的に“クレヨン”に至った経緯を教えてください。

 

大澤さん:出産を2回経験し娘たちと向き合う中で、地球に対する心配事があまりにも多すぎると感じています未来には深刻な環境問題が山積みかもしれませんが、少しでも希望が持てることを私たち大人が楽しみながら行いえば、子供たちにその後ろ姿を見てもらえるのではないかと思ったんです。目くじらを立てて「大変だ!」と騒ぐのではなく、例えば余った化粧品をクレヨンにリユースして絵を描けば、遊びながら一緒に学んでいけるのではないかと。子供たちって、大人の問いかけにきちんと応えてくれるんですよね。むしろ子供の方から、「こういうことをやってみたらいいんじゃない?」と意見を投げかけてくれることすらある。そういったクリエィティブ能力と明るさに、背中を押されたことも大きいです。形状に関しては、当初は絵の具にすることも検討したのですが、結局容器がゴミになってしまうなぁと思い、最後まで大切に使い切ることを考えてクレヨンという選択をしました。

 

Spring Step:「COSME no IPPO」で作られるクレヨンの特徴はどんなことですか?

 

大澤さん:原材料がその都度集まったカラーコスメになるので、毎回唯一無二の色が出来上がることが大きな特徴ですね。逆を言うと、同じ色は二度と作れません。ラメが多く入ったクレヨンになったり、落ち着いた色味が多かったり……。どんな色が出来上がるか想像できないので、仕上がりを見る瞬間がすごく楽しいですね。

 

Spring Step:同じ系統の色味であっても、毎回絶妙に異なっているんですね。聞いているだけでも楽しいです! 一般の方が使っていないコスメを提供することもできるのですか?

 

大澤さん:現段階では常設の回収箱を設置していませんので、一般の方からは公式InstagramのDMから問い合わせを受付しています。今後は回収体制もきちんと整えていきたいと考えています。

 

Spring Step:カラーコスメのプラスチックパッケージを外して、中身だけを送るんですよね。

大澤さん:はい、パッケージから中身のみを取り出し、近い色味ごとにまとめて送っていただものけると嬉しいですアイシャドウや粉白粉、フェイスパウダー、アイブロウ、チークなど粉状のはそのまま袋に入れてください。リップスティックは最後まで出し切って、ポキっと折っていただくイメージですね。

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「COSME no IPPO」のこれから

 

Spring Step:今後はどのような形で、このプロジェクトを広めていく予定なのでしょうか?

 

大澤さん:スタートしたばかりのプロジェクトなので、当面は原材料(ユーズドコスメ)をどう集めるかということと、出来上がったクレヨンをどう広めるかということの両輪でバランス良く進めていきたいです。

コスメの回収に関しては、化粧品ブランドとも提携していきたいと考えています。余ったコスメだけではなく、開発する際に出来たサンプルなどを上手に循環させる仕組みも作っていきたいですね。ある程度量産体制が整ってきたら、エシカルな取り組みをされているアパレルブランドや企業などと共に事業を展開できたら楽しいなと思っています。

 

Spring Step:本当に、ワクワクする素晴らしい活動だと思います。

 

大澤さん:ありがとうございます。そういっていただけるとうれしいです。まずは活動の基盤を整えることが優先ですが、ゆくゆく利益を生み出せるようになったら環境団体に寄付をするなど、より発展的な事業に発展させていきたいです。

 

Spring Step:時代的にも、エシカルな取り組みに対する意識を高く持っている方が増えていますし、これからますます注目度が上がっていくのではないでしょうか。量産体制などの仕組みが整い、うまく循環していくといいですね。このようなポジティブな取り組みがどんな広がりを見せるのか楽しみです。今後の活動に、期待しております!

 

PROFILE

大澤美保

PR会社、エンタメ系企業でのPR職を経て、2010年~ジョンマスターオーガニックにてPR、CSR担当。2018年~ビューティPRとして独立。

2021年8月 合同会社Maison de Mouを設立し、COSME no IPPO事業をスタート。

複数のビューティブランドをクライアントに持ち、ビューティPRとして活動する傍ら、

エシカル・サスティナブルな分野にも関心を持つ。

@cosmenoippo

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