【人生はDIY④】「結婚で幸せになれる」という思い込みを疑ってみよう 伊藤菜衣子 連載

Way of living Women's life Beauty Lifestyle
2022.03.10

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思い込みを疑ってみよう

Text & Photo : Saiko Ito 

 

「ふつう」とされるロールモデルにフィットするように自分の人生を型にはめることが当たり前だと思っていることが多々ある。そんな空気にあらがって、自分の人生の理想のカタチを思い描いてはDIYしてきたけれど、一歩すすむごとに、また何かに囚われている自分に気がつくというのを繰り返しています。

 

その「ふつう」ってどうやって生まれたんだっけ?誰が決めたんだっけ?そんなことが、どうやら人よりも気になってしまう暮らしかた冒険家 伊藤菜衣子の衣・食・住・家族・仕事などの「ふつう」を疑ってみたエピソードを毎回紹介します。


第4回は、26歳に初婚、35歳で子連れ再婚と、状況もキャリアも違う状態で結婚をしました。20代のときは見えなかった結婚の難しさと、いまやっと掴めてきた結婚のバランス感を書いてみます。

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「結婚で幸せになれる」というのは本当なのか?

いま振り返ってみると、20代のわたしは、根拠なく「結婚」と「幸せ」というイメージが結びついていたなぁ、と思うのです。だから、結婚の不幸な面への知識は、自分が当事者になるまで、まるでなかった。浮気やら、DVやら、性格の不一致やら、よく聞く離婚原因は、自分にはまるで縁のないことのようにさえ感じていました。

 

そもそも、周りの人たちが結婚で幸せそうだったとしても、そのために何を犠牲にし、現在進行形で何を無理をしているかなんて、なかなかわからないものです。両親ほど物理的に近しい関係でも、全貌は知っているようで実は知らないものでした。

 

自分が離婚を考えたとき「離婚」でネット検索して、初めて逆説的に結婚ってそういうことだったのか、と気が付いたことが多々ありました。ぜひ、結婚前にも情報収集をおすすめします…。ちょっと幻滅するけれど、たぶんそれくらいがちょうど良いのかもしれません。

 

最初の写真の視線の先には、動き回る息子

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無意識に染み付いた家族の役割と変化している社会

「男が外で働いて、女は家を守る」という環境でわたしは育ちました。これがわたしが当たり前に思っていた夫婦像でした。自分が働いていても、妻や母という役割のロールモデルは専業主婦の自分の母でした。だから、妻や母という役割においては、いつも至らぬ点ばかり。特に子どもが生まれてからはこの達成感がなく、罪悪感がつきまとう状態はすごくストレスでした。

 

これはわたしの一例だけれども、社会がアップデートしていく中で、自分の中にある常識や思考が、社会と同じペースで変化しているかというのは、案外盲点だったりします。だから、専業主婦でも共働きでも大黒柱妻でも、結婚というベルトコンベヤーに乗って淡々と人生が完成していくようなことはなく、それぞれが自分の結婚をDIYしていく必要があるのだと悟ったのです。

 

結婚を息子に相談したら「●●くん(オット)といるときのママはかわいいから、いいと思うよ」と。

4歳の観察眼に脱帽だった

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「万人ウケ」「都合のいい女」になった先に自分の幸せがあるか想像してみよう

離婚後、結婚はしなくてもいいけれど、パートナーがいたらいいなぁ、と、34歳バツイチ子持ち時代に、マッチングアプリで万人ウケを意識したことがあります。詳細はもしよかったらnoteのコラムを読んでもらうとして、その結果、結婚相手には家庭的であってほしい方、親の介護をしてほしい方、ヤリモクの方、そしてビジュアル重視で追加で写真を送って欲しい方など…いろいろいらっしゃいました。で、これらのニーズに答えると、わたしは幸せじゃなくなるぞ、と気がつきました。

 

そして、男性にとって「都合のいい女であるかどうか」というジャッジにさらされるのは苦痛でしかなかったのです。わたしの人生はわたしのもので、誰かの人生に回収されるべきものではない。「万人ウケ」「都合のいい女」の先には、旧来的な妻や母という肩書きに縛られ、自分の人生を犠牲にする未来が高確率で待っているような気がしたのです。

 

だからこそ、自分がどういうことを大事にして、どういう人生を歩みたいのか、というのがまず芯にあること。そして、そのためにパートナーが必要かどうかも含め、どういう人がいいのだろうか、というトライ&エラーがパートナー選びや婚活と定義したほうが良いのだろうなと考えるようになりました。

 

そして、良く耳にする「結婚相手として良さそう」という定義もまた、それは旧来型の結婚像にとってであって、多様化する時代に、自分の幸せにマッチするパートナー像とは限らないのです。だから、耳を傾けるべきは定説ではなく、やっぱり自分の声でした。

 

結婚1周目の反省を盛大にし、自分丸出し、独自の結婚相手のチェックリストを満たして結婚するも、いつだってズレは生じる。その度に、自分の考えをまとめ、コミュニケーションを取り続けている

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他力本願から自力本願へ

「結婚で幸せになれる」っていうのは、とても他力本願なフレーズ。結婚で散々な目にあっていても、いざ離婚と思うと、不安が残るのは、自分の幸せを結婚に依存している部分がそれなりにあったからです。

 

本来は、結婚しててもしてなくても、離婚しても、自力で幸せか、幸せに向かっている途中であるべきなんだ、と痛感したのです。生き方が多様化した時代に、幸せに生きていくには、まず自分の選択に納得感を持ちながら、時に軌道修正しながら、試行錯誤しつづけることが大事。

 

その上で、パートナーがジョインするならば、「これまでの結婚」という惰性ではなく、2人がなんのために一緒にいるチームなのかというヴィジョンを持つこと。その実現のために、コミュニケーションを重ね続けていくという、根気がいることが結婚なのだと認識しました。

 

ちなみにわが夫婦のヴィジョンはいたってシンプルで「たのしいこと(オット)」と「リスク分散(わたし)」なので、問題が起こるごとに、このヴィジョンを満たすにはどういう選択肢を取るべきかを話し合っています。で、このプロセスにも「自分はどうしたいのか」という意思が問われるのです。

 

息子を含め「自分が何をやりたいか」「やりたくないか」に忠実に、それぞれがマイペースに、ときに協力して、一緒にいるという自由と責任が隣り合わせの家族の風景

 

以上、「結婚するかしないかよりも、結局は自分じゃないか」というエピソードでした。自分の中の違和感を見過ごさず、ひとつひとつ手探りでも心地の良い状態を見つける。そんなきっかけにこのコラムがなっていたら幸いです。

 

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PROFILE

伊藤 菜衣子 SAIKO ITO / 暮らしかた冒険家

 

「未来の“ふつう”を今つくる」をモットーに暮らしにまつわる違和感をアップデートし、言語化を試みる。SNSとリアルを泥臭く奔走し未来の暮らしを手繰り寄せていく様を、坂本龍一氏は「君たちの暮らしはアートだ」と評す。冒険で得た気づきを書籍、映画、アート、企業の広告制作など様々な方法でアウトプットしている。

 

10年で3軒の家づくりを経験。その経験を生かして編集と執筆を手がけた「あたらしい家づくりの教科書」「これからのリノベーション-断熱・気密編」(共に新建新聞社)などがある。

 

メディアプラットフォーム「note」にて「#人生とは自分にかかっている呪いをひとつひとつ解いていく冒険」にて結婚や子育てを通して感じるジェンダー問題やコンプレックスに向き合う赤裸々なコラムを連載中。最近の人気記事に「34歳バツイチ子持ち、マッチングアプリでハイスペ男子(現夫)と付き合うまでの一部始終|都合のいい女にならないと結婚できないという #呪いを解く冒険」がある。

https://note.com/bouken_life/

 

現在、愛知県岡崎市にてコーヒースタンドをオープンすべく、
クラウドファンディングを3/20まで実施中。サポートしてもらえるとうれしいです。
https://camp-fire.jp/projects/view/549726

 

Instagram  @saikocamera

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