【元祖トラッシュアクティビストに聞きました】ゴミ拾いを通じて、伝えたいことは何ですか?

Way of living Women's life Organic Lifestyle Green Tech
2022.04.28

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人生をまるごと変えた、ゴミ拾いという体験

TEXT:Shiho Tokizawa

 

Spring Step :はじめまして。まこまこさんはトラッシュアクティビストとして、ゴミ拾いの活動をされています。現在はお友達と一緒にゴミ拾いの旅(東海道五拾三次を歩き、現代版東海道中膝栗毛をつくる旅)に出られているんですよね?

 

まこまこさん:そうなんです。今日が2日目でした!

(編集部注:取材日は2022年4月6日)

 

Spring Step :出発地点は東京ですか?

 

まこまこさん:はい、日本橋です。今日は川崎から保土ヶ谷まで約14km歩きました。私はゴミ拾いを使命感や義務感でやっている訳ではありません。これが私の生き方の表現。だからなにも辛くないんです。楽しいからやっている、そんな感覚です。

 

Spring Step :ゴミ拾いに目覚めたきっかけを教えていただけますか?

 

まこまこさん:私は野生動物のフォルムやヴィジュアルが好きで、中でもホッキョクグマが大好きなんです。ですがホッキョクグマは近年、気候変動や温暖化の象徴的な存在になっていますよね。氷がなくなって取り残されていたり、ガリガリに痩せてしまったホッキョクグマの映像を目にしているうちに、生物多様性が脅かされていることに疑問を持ったんです。それで、気候変動と呼ばれるものについて調べたりするうちに、地球では本来それぞれの動物がそれぞれにしかやれない役割を果たし、循環している。けれど、このままの生活をわたしが続けていたら、わたしが望む美しい循環からかけ離れてしまうと痛感し、このまま生きていくのは嫌だなという思いが芽生えました。私に何ができるかな?とモヤモヤした思いを抱えていたときに、積極的に行動を起こしている女性たちのコミュニティに出会ったんですね。その人たちは、例えばスタンディングなどで自分の意思を表現されていたんですが、その姿を見たときに、“自分は何もしていないな。いや、何かできる!何かしたい!”という感情が沸き起こって。“よし、明日から何かしよう!”と決意して、ゴミ拾いすることに決めたんです。

 

Spring Step :なるほど!

 

まこまこさん:お休みの日だったし、ゴミ拾いならできる!みたいな感じです。とにかく何かがしたくてどうしようもない、この気持ちをどうしよう!という状態になっていたので。ゴミ拾いについて何の知識もないし、何も調べなかったけれど、とにかく軍手をしてビニール袋を持って街を歩いてみました。それが、2020年の10月27日です。

 

Spring Step :初めてのゴミ拾いで、何か印象に残っていることはありますか?

 

まこまこさん:その日から人生が変わっちゃったんですよ。ものすごいパラダイムシフトが起きて。ゴミ拾いをして1番に感じたことは、思っていたよりもゴミが落ちているということ。よくよく見て歩いたら、何も意識せずに歩いていたときの3倍から5倍はゴミが落ちていました。初めはショッキングでしたね。“地球って汚い!”みたいな感覚になって。でも同時に、帰ってきたら心がすごくすっきりしていたんです。これは最初は言語化して説明できなくて、後になってから気づいたんですけど、ゴミ拾いは私にとっては瞑想で、自分と向き合える大切な時間なんですね。“ゴミを拾う”ということ以上に大切な意味合いがそこにある。私はそれまで運動や散歩を全然していなかったんですけど、ゴミ拾いをきっかけに外に出るようになり、太陽の光を浴びて、風を感じて、土の香りや自然の音に触れて……。黙々とゴミを探してはいるんだけど、頭の中では自分と向き合っていて。そんな風に過ごしていると、なんだか自分の悩みがちっぽけに思えてくるんです。全部リセットできるような、そんな感覚になりました。

 

Spring Step :すごいです!

 

まこまこさん:ですので私は正義感というよりも、メディテーションのためにゴミ拾いをしています。モヤモヤが全部クリアになるイメージですね。こんなに楽しいことはないです。加えて、100%社会に貢献しているとも思っているので。これは他者が私を認めるというよりは、自分でそう思っているという意味合いです。ゴミ拾いは、社会に貢献しながら自分を見つめることもできる貴重な時間。そしてゴミが街から少しでもなくなることで、ホッキョクグマが生き生きとし、彼らが担う生態系の循環が乱れなければいいなと思っています。

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自分を豊かにするために、自分にできることをやる

Spring Step :ゴミ拾いは、1日何時間くらいされてるんですか?

 

まこまこさん:特にルールは決めていなくて、魂に従うというか。今の自分に必要であればやる、でも無理はしないという自由な感じです。例えば先日は徒歩10分くらいのところにあるカフェで友達と待ち合わせしていたのですが、少し早く出てゴミ拾いをしながら向かいました。なるべくルールに囚われずに、隙間で行なっていますね。

 

Spring Step :意気込んでやるというより、もう少しカジュアルなんですね。生活を変えずに、ゴミ拾いの時間を隙間に入れるという。ついでに気持ちの整理もできるとは、まさにウェルネスですね!

まこまこさん:本当にそうです。健康になりますね。

 

Spring Step :歩きますしね!

 

まこまこさん:ゴミ拾いをしている人の中にはいろんな考えの人がいますけど、私はただただ楽しんでいます。ゴミ拾いをしていたら人生がお花畑のようになりました(笑)。

 

CHICO:心穏やかに、ニコニコしながら生きているまこまこさんのスローガンがゴミ拾いを通じて表現され、さらにゴミ拾いという行為自体が社会貢献という。なんだかすごくいい連鎖ですね!

 

まこまこさん:自分にとって本当に必要な面、つまり他者軸にフォーカスするのではなく、自分自身が楽しいとシンプルに思える面にフォーカスして、1秒でも多く笑って生きて死んでいきたい。私にとって大切なことは、ただそれだけです。

 

Spring Step :ゴミ拾い人生が始まる前も、そのような考え方だったんですか?

 

まこまこさん:それが、真逆なんですよ。トラッシュアクティビストとしての私しか知らない人は、ゴミ拾いに出会う前の私は想像がつかないと思います。神経質で自信もなくてイライラしていたし、完璧主義を自分に課して、かつ人も許せないという。女性はこうじゃなきゃいけないとか、そんなことを考えていたんですよ。今の私は魂通りに生きているので元気ですけど、以前は一生懸命自分以外の人になろうとしていました。なので歪みができて滞っていたし、負のループの中で生きていたと思います。

 

Spring Step :“自分に課して、人を許せない”という、この言葉にすべてが詰まっていますね。私も、自分が豊かであれば人に優しくできると思っていて、だからセルフケアを薦めているんです。結局、社会問題の解決っていかに自分を豊かに満たすかだと思います。“楽しい、幸せ、気持ちいい”を満たしていれば相手に対して寛容になれるし、分かち合うことができる。そうなったら、戦争なんて起きないと思うんです。

 

まこまこさん:その通りですね。私は自分の魂の中に宇宙があると思っているのですが、大切なのは自分の宇宙を豊かにするために、自分にできることをやること。それにつきると思っています。私はゴミ拾いをして初めて、自分の心としっかり向き合いました。“どう感じないといけないか”は一旦置いておいて“どう感じているか”にめちゃくちゃ素直になったんです。自分は何が寂しかったんだろう、何に怒っていたんだろう、どうなりたかったんだっけ?って。やっと、もう一人の自分とゆっくり話せた気がするんですよ。不思議な体験なんですけど。そのうちに、 “こうしなきゃいけない”という思いがだんだん剥がれていきました。自分が平和だと思う方でいいじゃんって。みんなが同じじゃなくてもいい。そんな風に一歩ずつ正直になっていったら、そこに本当の私がいたという感じです。

 

Spring Step :まさに、メディテーションですよね。ゴミ拾い前夜のまこまこさんのお話を聞くと、自分の気持ちの棚卸しをあまりされていないような感じだったじゃないですか。でも、ゴミ拾い中にされているときの棚卸しの深さといったらない!みたいな。ものすごく自分を客観的に見ることができているということですよね。お話聞いていて、鳥肌が立ちました。

 

まこまこさん:それまでは自分と話す時間がなかったんですよね。作る必要性も感じていなかったし。

 

Spring Step :その手段と出会ったのは奇跡的ですよね。直感が働いたところが。

 

まこまこさん:それまでの人生では各シーンのパーツがそれぞれ散り散りになっていて、くっついていなかった。でもある時に行動を起こしてみて、パッと見てみたら、そのパーツがきれいな絵になっていた。そんなイメージです。

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いい波を起こし、人と人が繋がり合う喜びを体験したい

Spring Step :ゴミ拾いをしている姿を通して、伝えたことはありますか?

 

まこまこさん:“こんなに変な人いるの?”って思われたいです(笑)。こんなに楽しそうにゴミ拾いしている人見たことない、なんか気になる!って。まこまこを見ていると、“あれ、ゴミ拾いってもしかして楽しい?”って思えてくるような。そんなところが本望かも知れません。私は本当にゴミ拾いに救われて、こんなに素晴らしい行いはないと思っています。だから、みんなにも心から楽しいと思えることをみつけて欲しいですね。

 

Spring Step :今日の話を聞いて、ゴミ拾いというアクションのイメージが完全に変わりました!

 

まこまこさん:わぁ、うれしい!ゴミ拾いって結構自由だし、そんなに重い腰にならなくて大丈夫です。

 

Spring Step :どこかにランチを食べに行くときに、お店までの道で拾えちゃったりしますよね。例えばお昼休みの5分間でメディテーションしろって言われたら難しいけど、ゴミ拾いならできる。まさにムービングメディテーション!

 

まこまこさん:やってみると、びっくりするほどメディテーションなんです。めちゃくちゃすっきりします。拾ったゴミが可視化できるという点もいいですよ。自分のデトックスを、目で見ることができますから。私自身、心に不純物を溜め込んでいればいるほどゴミを拾いたくなるというのは、そういうことじゃないかなって。

 

Spring Step :雑草を抜いたときに頭がすっきりするのと同じ感覚ですかね。

 

まこまこさん:いつか世界からゴミがなくなったら、私は雑草を抜くでしょうね(笑)。

 

Spring Step :今、ゴミを拾いながら東海道を移動させているということですが、チャレンジを通して実践されたいことは何ですか?

 

まこまこさん:今回はソウルメイトと2人で歩いているのですが、私自身のテーマは4つあります。1つめは、ゴミ拾いの輪を広げること。2つめはメディテーションですね。3つめは、地球や自然と繋がることです。実は今回ワラーチというメキシコがルーツの履物で歩いていまして。今回私が着用しているワラーチは、足の裏にあたる部分に銅版が入っているんです。要するに、ずっとアーシングした状態で歩いています。4つめは、地域の人たちとの対話です。コロナ渦になってオフラインの繋がりというものが閉ざされてきたこの2年間ほどだったので、自分の足で歩いてできる出会いを大切にしたいですね。新しい人に会って、“ゴミを拾いながら東海道を492km歩いてるんです”という突拍子もない話題で交流ができたら、とっても幸せだなって思います。そんな風に話が広がって、どんどんいい波が起きるといいなって。やはり対話をして、人と人が繋がり合う喜びを体験したいですね。

 

Spring Step :突拍子もなさすぎて面白いですよね(笑)。

 

まこまこさん:今回の旅では、ワラーチ以外にもいろいろなものを提供していただいています。土に還るTシャツや、海岸に落ちていた廃プラスチックで作られたアクセサリーなど。いろんなものをお揃いで身につけて歩いているので、本当に変だと思います(笑)。

 

Spring Step :見ているだけでも、楽しそうな感じが伝わってきそうです!

まこまこさん:最高に楽しいです。

 

Spring Step :これから約1ヶ月間、旅を続けられるということで。

 

まこまこさん:ゴミの日(5月3日)に、京都の三条大橋でゴールするのを目指しています。

 

Spring Step :道中でお二人と出会った人、お話しできた方々への影響も大きいのではないかと思います。ゴミ拾いの概念が変わって、何かしらに目覚めたり、気づきがもたらされる人も多いのではないのかなと。

 

まこまこさん:ゴミ拾いが誰にでもフィットするとは考えていませんが、必ず自分にフィットするものがあって、それは心の捉え方次第だよと伝えられたらうれしいです。何かを見つけると、ここまで楽しく生きていけるんだよって。

 

Spring Step :自分らしく生きていくためにできる「ステップ1」があるとしたら、何でしょうか?

 

まこまこさん:私が大事にしているのは、比べないということです。私たちは比べることで成り立つような社会システムの中で生きているし、比べないというのは非常にハードルが高いですよね。何もせずにいると、どうしても比べてしまう。そうした時に私は、他の人とは比べない、ということをします。比べるなら、過去の自分と比べてみる。

 

Spring Step :人と比較したところで何も解決しませんよね。世の中には比較材料が多いから、きっと永遠に比較しちゃうと思うんです。でも私たちは、他人の一部しか見てないじゃないですか。自分のことは100%見ているけれど。だったら、過去の自分と比べて“こんなに成長した”とか、なりたい未来の自分に対して、“今8合目まで来ているからもうちょっとだな“とか、そう捉えた方がいいですよね。

 

まこまこさん:みんな、何も同じじゃないので。同じもの同士しか比べられませんから。他人と比べ出すとどこまでも劣等感を味わえてしまうので、比べたくなってしまった時は過去の自分や未来のなりたい自分だけにフォーカスすると、平和かなって。そう思いますね。

 

PROFILE

まこまこ

 

2020年10月〜ゴミ拾いを始め、人生が一変。現在は「元祖トラッシュアクティビスト」としてinstagramなどで精力的に活動を配信中。大量消費大量廃棄の暮らしに矛盾や違和感を覚え、エネルギーの調和した世界で、ダウンサイズしたスローライフをしたいと感じている。

Instagram:https://www.instagram.com/trashmacomaco/

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