【ホリスティック美容のリーダーにききました】ホリスティックビューティから私たちが学べることは?

Beauty Lifestyle Special Interview
2018.07.12

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私たちは“奇跡のかたまり” 

Text / Hiromi Tani  PHOTO / Spring Step

Spring Step : 近年、「ホリスティック」というワードが雑誌やTVでも語られるようになりました。岸さんはいち早く「ホリスティックビューティ協会」を立ち上げられましたね。そもそも「ホリスティック美容 」とは何かを教えていただけますか?

 

岸 紅子さん(以下 岸さん) : 「ホリスティック」という言葉は、1920年代から使われはじめた”全体的な調和、共生、循環”といったことを表す哲学用語です。すべては繋がっていて絶え間なく巡っている、それが命の営みであるとするという考え方です。このことから、私たちホリスティックビューティ協会(以下 HBA)では、人の姿、体、心の総和の美しさ、つまり総合的に調和のとれた美のことを「ホリスティック ビューティ」と定義しています。

 

Spring Step : 「美」というと、まだまだ“外見的にきれいなこと”を指す場合が多いように思いますが。

 

岸さん : “きれい”を表現するのは、2つのキーワードに集約されるって気づいていましたか? 瞳がキラキラしている、肌がツヤツヤしている、生き生きしたボディ……、こうした言葉は、「潤い」と「熱」がある状態のことをいっているんです。

 

Spring Step : 「潤い」と「熱」、確かにそうですね。

 

岸さん : つまり「潤い」と「熱」を感じさせる姿が美しいということ。そのためには、内臓がきちんと機能して体の隅々にまで血流が行き渡り、栄養素と酸素が供給されて、代わりに老廃物が回収される、そうした一連の流れが不可欠です。これはとてもヘルシーなコンディションですよね。ホリスティックな美しさとは、ベターヘルス、つまり高いレベルの健康状態ともいえるんです。

 

Spring Step : 体の内外で循環がうまくなされて、デトックスもできている状態、ということですね。

 

岸さん : そう。私たちは、毎日違う気候や環境、いろんなバイオリズムの中で、体もメンタルもローだったりハイだったりとさまざまな揺らぎを受けながら生きています。コンディションがダウンしてきたときに知識があれば、セルフケアを施して健康と美を高いレベルに戻すことができる。生きていくための杖として、知恵と知識をもっていてもらいたいと思うんです。

 

Spring Step : HBAの講座や検定を通して、そうした学びを実践してきた方たちを見てどう思いますか?

 

岸さん : 皆さんが変わっていく姿を目の当たりにして、感激しますね。初めは自信がなさそうで人の目を見て話せなかったり、ファッションも気にかけていなかった女性たちが、だんだん上を向いて、目が生き生きとしてくるんです。

 

Spring Step : それは何がきっかけなんでしょう?

 

岸さん : 自分を愛することを知って、変われると確信した瞬間があるんだと思います。私たちは皆、いわば“奇跡のかたまり”。毎日すごいことをやってのけているんです。食物から摂った栄養を消化して、体の一部として一定期間留め、老廃物として排出する。分解と再生の繰り返しが、命の営み。分子を交換しあい、循環しあって生きているんですね。CHICOさんの昨日の一部が私の今日の一部になっているかもしれない。代謝のサイクルはものすごく早くて、皆が大きな円の中で生きているんです。あらゆる物質は放置すると朽ちてしまうけれど、私たちの体は先に壊して再生することで、機能を保たせながら命を繋いでいるんです。だって1日5000億の細胞をつくって、同じだけ排出するんですよ! そんなメカニズムを学ぶと、「私ってすごい」と心底思えるんですね。

 

Spring Step : 分解と再生という一連の流れの中で、自分と環境が一体であることに気づくんですね。

 

岸さん : 自分が大きな循環の一部であることを知ったときに、オセロの石がすべて裏返っていくように腑に落ちる。何を体に取り入れるのか、何を与えるのか、自分を通して循環がうまくいくように、サイクルが乱れないように、食べ物もコスメも負担のないものを選ぶことを知ります。自分を大事にすることは、地球を大事にすることとイコールであることがわかるんです。“これをしなくちゃ”“これを食べなくちゃ”という義務感ではなく、学びを通して自ら得た気づき。皆さんの考え方や生き方が大きく変わる瞬間を見るのは、私にとっても大きなやりがいです。

 

Spring Step : 学びの中で感じたことを昇華させて、自分を、命を愛することを習得するということでしょうか。

 

岸さん : そう、自分の軸で選ぶことの大切さを知るんです。自分という円は形も大きさも人によって違い、その多様性がすばらしい。何かをやらなきゃと焦る必要はまったくない。だってすでに、大きなことを成し遂げているのだから。そしてそれを他者にも認められることが自立。です。自立してこそ人と助け合い、調和も図れる。共生とは自分をちゃんと生きることなんです。

 

Spring Step : その通りですね、自立なしに調和も共生もない。ホリスティックから学べることは本当に多いのですね。

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女性ホルモンが乱れて当たり前の現代社会

                                                                                                                  

 PHOTO / NAHOKO MORIMOTO

Spring Step : 現代女性は多くの悩みや体の不調を抱えていますが、岸さんご自身も体調を崩されたご経験がおありだそうですね。

 

岸さん : 私がHBAの活動をはじめたのは、自分の病気がきっかけでした。大学を出て起業し、20代は仕事に没頭して文字通り寝食を忘れて働きました。30歳すぎて結婚したころに体が突然いうことを聞かなくなって、ストレス性の喘息と子宮内膜症と診断されたんです。

 

Spring Step : 原因はなんだったのでしょう。

 

岸さん : 精神的なストレスの蓄積と、そこからくる女性ホルモン分泌の異常ということでした。そこから長く辛い治療が続き、心身ともに本当に疲弊しました。仕事もできず社会的な信用も失い、ホルモン療法で体はどんどん男性化していって。生理も止まり、ヒゲまで生えてきてしまって……。心の安定をもたらすセロトニンが作られなくなるので気持ちもどんどんネガティブになって、それはもうボロボロでした。

 

Spring Step : 不調は急に訪れたのですか?

 

岸さん : 自分では突然病名を突きつけられたという思いでした。でも体はデジタルのようにゼロがイチに瞬時に変わるわけではありませんから、予兆やサインもあったはず。それに気づいてもっと早くメンテナンスできていれば、そこまで酷いことにならなかったでしょうね。

 

Spring Step : ストレスや婦人科系の疾患に悩む女性は今とても多いように思います。

 

岸さん : 現代女性の不定愁訴の要因のほとんどは間違いなく、ストレスと女性ホルモンの乱れだと思います。多かれ少なかれ、皆これに苛まれていて、度を超えると病気になる。日本の社会制度や組織が女性が考慮されたものでないから、まずこの不条理なシステムに多大なるストレスを覚える方は多いでしょうね。

 

Spring Step : 日本は経済大国ですが、政治や経済の要職に就いている女性の数では、先進国の中ではとても遅れをとっていますね。

 

岸さん : 加えて、ストレスに起因する女性ホルモン分泌の乱れが深刻。子供を10人前後出産するのも普通だった100年前は、女性の一生の月経回数は約50回だったそう。少子化が加速している今は平均約450回。それだけ卵巣はフル回転で働き続けているんです。

 

Spring Step : ええっ! 生理の回数が約10倍なんですか!

 

岸さん : 子宮を酷使しすぎですよね。さらには、ダイオキシンなど生活環境の中にある内分泌かく乱物質や、市販の食品に素知らぬ顔で潜んでいるトランス脂肪酸などの各種添加物。オーバーフローにオーバードゥーズで女性ホルモンは乱れこそすれまったく安定しない。そりゃホルモン異常にもなるわけです。

 

Spring Step : 普通に生活していたら病気になるわけですね……。

 

岸さん : だからこそ知恵が必要。そして自分がもっている力をどのようにして引き出すかを考えるべきなんです。すべて循環しているから。

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“いのち”を繋ぐ方法を正しく伝えるために

                                                                                                                                 

 PHOTO / Daisuke Kurihara

Spring Step : 私も1歳を迎えた双子の女の子がいますし、岸さんも娘さんをおもちです。日本のお母さんが娘に伝えるべきことって、何だと思いますか?

 

岸さん : ホルモンやメカニズムも含めて、女性と男性の体のこと、性のことを正しく教えることではないでしょうか。命の仕組みに関わることだし、この知識の有無でQOL(Quality of Life=生活の質の充実)がまったく違ってきますから。

 

Spring Step : フランスでは母親が娘を婦人科に連れていきつつ、いろんなことを教えます。日本では未だに性のことをタブー視して、正面から向き合おうとしないですよね。

 

岸さん : 日本では小学校4年生で男女別に生理のことや精通の授業がありますが、赤ちゃんが産まれる仕組みについてまでは触れないんです。だから日本のティーンエイジャーたちは、男性目線で作られたインターネットやアダルトビデオの映像から情報を得るしかない。女性の扱い方がぞんざいな男性が多いのはこのためだと思います。

 

Spring Step : そうして生まれた命は歓迎されにくいかもしれませんよね。だから日本社会はベビーフレンドリーじゃないのかも……。バギー押して街に出るのが本当に大変で驚きます。地下鉄やエレベーターの乗り場で優先レーンもあるけど優先にはしてもらえません。赤ちゃんを連れた親に対して風当たりが強いですね。

 

岸さん : QOLが高いとされている北欧、たとえばフィンランドではキンダー(日本の幼稚園に当たる施設)で性教育をはじめます。相手を思いやる気持ちが原点という視点で、パートナーシップやコミュニケーションとしてセクシャリティを教えるんですね。年齢を追うごとに体のことにも触れ、思いやりと同時に命の大切さを自然と知るわけです。

 

Spring Step : 隠さずに、脚色せずに、ありのままを伝えることって大事ですよね。

 

岸さん : HBAでは、自律神経や女性ホルモンはもちろん、免疫系、内分泌系といった体の仕組みから、食事や睡眠、入浴など日常生活の重要性についてを、順を追って学びます。それをすべて理解した方に対して、デリケートゾーンのケアをアドバイスし、そのアンバサダーを育成しています。自尊感情を取り戻した上で、生理と向き合ったり、妊娠や出産にのぞめるように促しているんです。

 

Spring Step : すばらしい! 日本の教育機関は、岸さんを教室に派遣するべきですね!

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だから自分を知るレッスンからはじめよう

                                                                                                                 

                                                                                                                                PHOTO / Spring Step

Spring Step : ホリスティックビューティから学べることは本当にたくさんありますね。最後に、年齢を問わずすべての女性が実践できる、ホリスティックビューティの最初の”STEP”を何かひとつ教えてください。

 

岸さん : 「自分を知ること」、ここからはじめてみてはどうでしょう。自分はどんなときにどういう感情をもつのか、どういうことを心地よいと思うのか、どんな食べ物が好きで何が嫌いなのか、といった具合に、さまざまな局面で自分という個の特徴を洗い出していくんです。

 

Spring Step : 流行っているからとか、人が身につけているからとかではなく、自分の視点や感情でチョイスして、その理由を探るわけですね。

 

岸さん : そう。同じことをいわれても人によって捉え方やレスポンスが違います。「背が高いね」といわれたときに、「ありがとう」と答えるAくんと、「嫌なこというな」と思うBくんの差はメンタリティの違いによるもの。右脳と副交感神経が優位の幼少期に家族や周囲がどういった環境だったかが影響します。感情が動くときは潜在意識からのレスポンスだから、そうしたときに何を感じるのかを観察するくせをつけるといいのではないでしょうか。

 

Spring Step : 心のさざ波をひも解いていていくんですね。それが難しいと感じる人は?

 

岸さん : ビューティでやってみるのも有効です。たとえば、額に吹き出ものができたときに原因になりそうなことを探っていく。すると前日に先輩に叱られたとか、3食コンビニだったとか、便が出ていないとか、いろんなことが思い当たるはずです。

 

Spring Step : なるほど、ビューティは目に見えるからわかりやすいですね。

 

岸さん : 肌のくせもさまざまですから、快適だと思うこと、自分には合わないことや好ましく思うことなど、ひとつずつ洗い出して、自分の柱を作っていくんです。自分の方程式をいくつもっているかが、心の許容量を広げ、自信がもてるようになります。そうして自分の活かし方を考えていけばいい。

 

Spring Step : 「何がいいですか?」「私に合うものをください」と依存して丸投げするのではなくて、ですね。

 

岸さん : そう!自分を活かすのは自分。主体性をもって生きてこそ、循環がうまくいくんです。ひとりでも多くの女性に「私ってすごい!」と気づいてほしい、そう心から願ってやみません。

 

PROFILE

岸 紅子さん Beniko Kishi/ホリスティック美容家、NPO法人日本ホリスティックビューティ協会代表理事、環境省「つなげよう、支えよう森里川海」アンバサダー

 

美容家としていち早くホリスティックビューティに着目し、NPO法人日本ホリスティックビューティ協会を設立。ホリスティックビューティ検定やさまざまなセミナーを通じ、免疫力や自然治癒力の高めるためのセルフケアメソッドを発信。また菌活や腸活なども提唱し、多くのメディアで活躍。

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