ミクロの視点で問う、コスメの最新サステナビリティ事情 安倍佐和子

Way of living Beauty Lifestyle Green Tech Ecology
2021.09.30

Beauty Journalist/Editor 安倍佐和子

Image : Shutter Stock 

先日、ミシュラン2つ星を獲得する有名レストランから、テイクアウト用のランチボックスをいただく機会がありました。見目麗しいランチボックスは、一品一品手の込んだもので、それは素晴らしく美味しかったのですが、よく見るとすべてがフードロス食材をリメイクしたものだったことに気付き…。驚きとともにこの取り組みに深く共感。なぜなら年間約650万トンの食品が、国内で廃棄されていることを知っていたから。ほかにもフードロス問題に取り組む高級レストランやグルメプラットフォームも増えているようで、欧米諸国と比べ、なにかと遅れがちな日本でも、さまざまな分野での持続可能な取り組みは、着実に広がっているようです。

 

では、化粧品業界は?と言えば、もちろん、容器のリサイクルや包装資材の削減等に取り組むブランドは増えつつあり、2030年のSDGs目標に一歩ずつ前進していると実感していますが、じつは、気になっているのが肝心の中身。すでに、多くのメーカーが自然由来指数を開示。これまで廃棄されていた植物の他の部位をアップサイクル(再利用)することや、有機栽培や動物実験フリーといった原材料をサステナブルに確保するインフォメーションは広まりつつあります。
でも、ご存じのとおり、化粧品は植物成分をそのまま瓶詰めされるものではなく、抽出方法や、抽出した成分をどうやって肌に届けるのか、その裏側が肝心。なかなか話題に上ることはありませんが、じつは目に見えない処方開発分野での進化がとても重要なのです。どんなにすばらしい有機植物成分でも、浸透技術の段階でケミカルに頼らざるを得ない、なんていうのは残念なことですから。

 

そんなミクロの視点から、サステナブルな処方開発事情を独自に探っていましたが、ちょうどのタイミングで届いたのが、美容成分の浸透を促すカプセルそのものを天然の植物由来成分で実現することに成功した、という世界大手メーカーからのニュース。異業種とのコラボレーションによって成功したものだそうです。美容成分をカプセルに閉じ込めて浸透させるデリバリー処方はポピュラーですが、これまではカプセルが自然由来のもので補えないことが多かったということでしょう。確かに、肌の上でモロモロ残るような美容液を体験したことはありますが、きっとそのモロモロ感もそうだったのかもしれません。今後は、浸透に関わる見えない処方の分野でも、肌や環境に優しいクリーンサイエンスが広まっていくことを願うばかりです。一方、大手メーカーの努力の傍らで、ひとりでコスメのゴミゼロ活動をはじめた方もいます。古くから知るフリーランスPRの大澤美保さんが、この夏、美容業界のゴミゼロを目指すプロジェクト「COSME no IPPO」@cosmenoippoを立ち上げました。こちらはコスメの中身の再利用。残ったカラーパウダーやアイシャドウ、リップなどのカラーアイテムを子どもたちが使うクレヨンにリメイクして販売。売上の一部を国際環境NGOグリーンピースに寄付するというものです。使わなくなったカラーコスメに新たな生命を吹き込み、次にバトンを渡すなんて素晴らしい発想。個人的にも定期的に協力ができればと思っています。不要な服の再利用やフードロスのリメイク、コスメのリメイクなど、いまある資源に新たな生命を吹き込み、必要な人、場所へと循環させる。私たちが忘れかけていたことがごく当たり前の日常になっていく、そんな未来を思い描きながら。

 

安倍佐和子 Sawako Abe/ビューティエディター、美容ジャーナリスト

化粧品会社、出版社勤務を経て独立。日本初の美容月刊誌の創刊に関わり、ビューティエディターとして活躍。現在は女性誌や美容誌で編集・執筆活動を続けるほか、広告、化粧品マーケティングなど幅広い分野で活躍。JPHMA認定ホメオパス、フィトテラピーアドバイザーの資格を持つ。著書に「安倍佐和子のMy BEAUTY Rules 人と比べない美人力の磨き方」(講談社)がある。

Instagram:@abesawakobeauty

雑誌:

VOCE, MAQIUA, Figaro Japon, ecla, GINZA, Presious, 25ans, mi-molet, BAILA etc.

広告制作:

HELENA RUBINSTEIN, SHISEIDO, WAPHYTO, POLA, TATCHA, BRILLIAGE  FLOWFUSHI etc.

テレビ:

テレビ朝日「BeauTV VOCE」新作コスメ紹介  2010年~2012年

 

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