ホリスティックの真意が問われる時代に、私たちがやるべきこととは? 安倍佐和子

Beauty Organic Lifestyle Ecology
2019.08.29

Beauty Journalist/Editor 安倍佐和子

先日、CNNのニュースで、目を覆いたくなるような記事を発見しました。ご存じの方もきっといるでしょう、タイの海岸で保護されたジュゴンの赤ちゃん「マリアム」が亡くなったのですが、命を落とした原因が、腸の中に溜まったプラスチックごみだったのです。この記事を目にしたとき、どれほど悲しく、苛立ち、いたたまれない気持ちでいっぱいになったことか。以前から、鯨やウミガメなどの胃袋から、あるいは魚介類からマイクロプラスチックがみつかっていることは報道されていますが、その被害はより深刻化しています。

 

残念ながら、あまり日本では大きく取り扱われることのない環境汚染のニュース。北極に微細なプラスチックが混じった雪が降っていること、海に打ち上がったプラスチック片に日光があたると、すべてのプラスチックからメタンやエチレンなど温室効果ガスが発生していることが、最新の研究によって明らかに。2018年には、東京湾で採取されたカタクチイワシの8割からマイクロプラスチックがみつかっています。近々には、アマゾンの大火災がニュースになりましたが、地球温暖化の悪化、環境汚染の悪化など、私たちはいま、避けようのない深刻な問題に直面しています。にも関わらず、G7海洋プラスチック憲章に署名していないのは米国と日本だけ。ただただ、残念な気持ちでいっぱいになります。

 

自然環境の厳しさはよく理解しているけれど、でも、私たちにいったいなにができるのだろうか、そう思っている方も多いですよね? 私自身そうですが、なるべくエコバッグを活用する、ペットボトルを買わない、ストローは使わない、サーフィンなどで海に入ったときは、目についたゴミを拾う、サンゴに影響のない日焼け止めを使うなど。その程度のことは続けていますが、でも、それだけでは全然間に合わないのも実感。気持ちとは裏腹に、具体的にアクションを起こせないまま、何年ももやもやとした時間を過ごしているのです。

 

先日、はっと気付いたのは、美容に関わるものとして、美容から環境汚染の引き金となるゴミを減らせないのだろうか、という考えです。化粧品パッケージの多くがプラであることはいたしかたない事実で、最近は、レフィル対応も増えてきているので、できるならレフィルを活用すること。再生ガラス素材のものを高評価したり、外箱のラッピングもなくす方向に向かうよう、声をあげていかなければ、とも考えています。

 

先日、固まったネイルや古くなった香水の処分に四苦八苦したことが。自治体によってゴミ処理の規定は違うと思いますが、たとえば、ネイルは外側がガラスなのでガラス類に分別するのですが、合成樹脂や合成パール、ラメなどが配合されたネイル、そして油分の多い香水はどうやって捨てたら水質に影響を与えずにすむのか、温室効果ガスは発生しないのだろうかと悶々。悩んだ末に、古い新聞紙に出して吸わせ、固まったものをゴミとして出すという結論に。果たしてこれで良かったのか、いまだ半信半疑ですが、自分が美しく装うために自然環境を汚染することは、本末転倒だと思うのです。

今まで、ホリステックビューティをテーマにいろいろなメッセージを発信してきましたが、

その多くは、オーガニックやサステナブルなモノ選びや、人がどう美しく快適に過ごせるための“人目線”“自分目線”のものでした。でも、改めてホリスティックの本質を見直す時期なのだと実感。健康で美しく、包括的に整えていこうとするホーリズムという概念には、私たち人を取り巻く自然環境をも考える“自然目線”が不可欠です。

美しく装う楽しみを失わずに、でも、これは自然に優しいのか、環境に負担をかけていないのか、“自然目線”で考え、ジャッジする。そんなアクションを少しでも増やしていくことが大事なのだと実感しています。

 

たとえば、私たちが今すぐできることとして、

○シャンプーやコンディショナー、歯磨き粉など水質に関わるアイテムは、シリコンやマイクロプラスチックフリーのものを選ぶ。

○化粧品を購入する際はレフィルを活用する。

○包装はなるべく簡素に、を心がけ、メーカーサイドにも伝える。

○配合成分である自然素材は自然環境に影響を与えていないかどうかもチェック。

○すべて使い切る。

 

上記以外にも、やるべき課題はまだまだたくさんあると思いますが、一歩ずつ前に進むだけ。外箱をラッピングする薄いポリエチレンを排除、あるいは代替品に変える、また、包装やラッピングには別途、代金を払うなど、食品と同じようなシステムの普及を模索することや、自然に還る廃棄の方法を取り入れることも必要でしょう。

 

美しく華やかなものに心惹かれるのは自然なことですし、私たちは、きれいなものを愛し、きれいになる権利もあります。でも、だからこそ、表面的なものを追いかけるのではなく、本質を見極めていくことで、美しさの価値はより尊いものに変わっていくはず。昨日より今日、今日より明日。プラスチックに依存しないライフスタイルが当たり前の時代に、豊かな自然が身近にある、そんな未来を願って。

 

PROFILE

安倍佐和子 Sawako Abe/ビューティエディター、美容ジャーナリスト

化粧品会社、出版社勤務を経て独立。日本初の美容月刊誌の創刊に関わり、ビューティエディターとして活躍。現在は女性誌や美容誌で編集・執筆活動を続けるほか、広告、化粧品マーケティングなど幅広い分野で活躍。JPHMA認定ホメオパス、フィトテラピーアドバイザーの資格を持つ。著書に「安倍佐和子のMy BEAUTY Rules 人と比べない美人力の磨き方」(講談社)がある。

Instagram:@abesawakobeauty

雑誌:

VOCE, MAQIUA, Figaro Japon, Marisol, ecla, SUPER, GINZA, Presious, 25ans, mi-molet, WWD Beauty etc.

広告制作:

HELENA RUBINSTEIN, SHISEIDO, LANCOME, POLA, KANEBO,GUERLAN,KOSE, P&G, SK-Ⅱ, FLOWFUSHI etc.

テレビ:

テレビ朝日「BeauTV VOCE」新作コスメ紹介  2010年~2012年

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