【コスメビオ代表にききました】オーガニックってなんですか?

Beauty Organic Ecology Special Interview
2018.05.29

1

「オーガニック」と「自然なもの」の違い

TEXT/Mamiko Izutsu

Spring Step : ルースさんはコスメビオという、オーガニック化粧品に認証を与える組織の代表をされているわけですが、以前と比べて、オーガニック化粧品とその業界は変化したと感じていますか?

 

Romainさん : 確かに世界的に変化は見られますね。しかし同時に、「オーガニック」と「自然なもの」においての間違った認識が常にあるなとも思っています。

 

自然という括りで言えば、石油や蛇の毒、キノコの毒でさえも自然の産物であり、毒性のある自然なものはたくさんあります。製品の力というのは薬と同じで、間違って使用したりすれば副作用があってもおかしくないのです。そして同時に、インターネットなどにおいては、たくさんの嘘も見受けられます。

 

私が取り組んでいるコスメビオは、15年以上も前に設立されました。当初の使命は、オーガニックが流行となり始めた頃に、商品 – 当時は主に食品に対してで化粧品はまだ少なかったですが – に透明性を与えることでした。15年前は、消費者を欺くような、危ない製品を販売する化粧品ブランドもありましたから、オーガニック成分を一滴だけ加えて「オーガニック化粧品です」と言ったりするような悪質な生産者を防ぐためにスタートしたのです。

 

Spring Step : 日本には、そういったものがまだたくさん存在しています。

 

Romainさん : アメリカも同様ですね。ですがフランスでは、倫理の基準が非常に高く、それは会社においても同じことが言えます。政治家に対する批判も他国に比べると少ないですし、汚職というものはかなり稀です。国民の間でこの概念は非常に大事なものなので、会社の倫理観というのも大切になってきます。

コスメビオの目的は、そうした倫理観に対して敏感な会社をまとめ上げ、消費者に対する透明性を高めること。そのためにも、オーガニック化粧品は数々の基準をクリアする必要があります。

 

Spring Step : それはどんな基準があるんですか?

 

Romainさん : まずは、一定パーセンテージ以上のオーガニック成分を使用していること。
次に、95%以上はナチュラルな成分でできていること。

水はオーガニックではありませんが、自然の産物であり安全なものなので、使用して良いことになっていますが、それでも量は決まっています。

 

さらに「ブラックリスト」という基準もあり、成分内容を開示するだけでなく、パラベンやシリコン、フタル酸のプラスチック剤、トリクロサンなど、危険であるとされる成分は完全に使用不可となっています。

 

こうした内容が、15年以上前にコスメビオをスタートさせた際に決められたものでした。その後、パラベンやトリクロサンなどによる健康被害スキャンダルが発生し、これがきっかけとなり、フランス、そしてドイツの消費者は、製品の内容を保証するコスメビオというラベルに対して注目するようになったのです。

オーガニック化粧品を購入したいと思ったら、コスメビオのラベルを確認すればいいのですから。

でもこの状況になるために、15年以上もかかりました……なぜなら、使用する成分の確保もまた大変だからです。

 

自然というのは常に一定ではありません。エッセンシャルオイルや植物オイル、フローラルウォーター、蜂蜜といったものは、その時のコンディションによって収穫量や内容も変わります。そう言った点が、日本の消費者にはまだわかりにくいのかもしれませんね。

 

例えば同じワインでも、2013年と2014年の内容は同じではないですが、同様のことが蜂蜜でも何にでも言えるのです。けれどこの違いこそが自然なものである証であり、大事なこと。フランスでも、そう言った理解をしてもらうことが最初の動きであり、それを消費者が受け入れていくという動きが次の動きでした。さらに次の段階として我々は、COSMOSというラベルの浸透に取り組んでいます。

2

ヨーロッパ共通のオーガニック認証COSMOS

 

Spring Step : 昨年からいよいよスタートになった欧州共通認証のCOSMOS(コスモス)について教えてください。

 

Romainさん : コスモスは、ヨーロッパ全体で統一言語を持たせるべく作られたラベルです。

特にドイツでは、非常に自然志向が強いですが、ことオーガニック面となると、その理解度が低かったりするのです。

自然志向が強いのになぜ?と不思議に思いますが、ドイツ製品のフォーミュラを見てみるとわかります。自然成分の量のパーセンテージは重視されているものの、オーガニック成分がどこからくるのかはあまり重視されていないのです。

対してフランスでは、自然成分にはあまり関心がなく、オーガニック成分こそが重要。そう言った違いを踏まえて統一基準を作っていく必要があり、そのためにコスモス ラベルは基準となるオーガニック成分のパーセンテージをより高く設置しています。

 

この変化は、元から意識の高いブランドにとっては何も変わりませんが、そうでないところにとっては高いハードルとなりますし、よりセレクティブなオーガニックショップなどは、その点を重視するでしょう。

 

さらに、単に消費者の健康のためであるとか、成分がどこから来ているのかということだけでなく、すべての成分がきちんと分解されて土に還るのかどうかという、成分の分解性に対する問題もあります。

 

現在では、コスモスが認証している製品は、ドイツの化粧品であってもフランスの化粧品であっても、同じ参照基準をもとに審査がされて、保証されています。

 

Spring Step : 今までコスメビオなどのオーガニック化粧品認証を取っていた製品はどうなるんですか?

 

Romainさん : 昨年より、BDIH(ドイツのオーガニック認証ラベル)またはコスメビオから認証を受けている化粧品は、新しくなった場合、古いフォーミュラも継続して良いことになっています。

ですので、使い慣れた化粧品を続けたい消費者は以前の参照ラベルで認証された化粧品を使えばいいですが、よりきちんと内容を見極めたい人は、コスモス基準で認証された化粧品を使うといいと思います。

 

Spring Step : 確かに、土に還る分解性についてはあまり伝えられていませんが、非常に大事なことですね。

例えばシャンプーなどは、すべて水で流れて行くわけですし…

 

Romainさん : でもこれらはまだまだ小さなステップなんです。コスメビオでは全ての問題、バイオパイラシー*やフェアトレード、持続性のある発展であるかなど、全方面から考慮に入れています。

何が入っていて何が安全かを伝えるというだけではなく、倫理観というものも、コスメビオに賛同する全ての会社のDNAとして持ってもらわなくてはなりません。

*バイオパイラシー(biopiracy) 生物資源の盗賊行為。
 主に先進国が途上国の豊かな生物資源や遺伝資源、古くから伝わる薬草などの伝統知識を利用し、
医薬品や食品開発を通じて利益を独占する行為を指す。 

 

3

オーガニックは人間同士の平等性を進め、環境を整える

 

Spring Step : コスメビオの、毒性や毒性に対するコントロールに関してはよく話題となるものの、環境への影響については、日本では特にあまり話されていない気がします。

 

Romainさん : それは消費という側面で考えると仕方がないことです。誰もが全てにおいてのエキスパートになれるわけでないですから。

 

我々が必要なのは、消費者に自信を持ってもらえるようにすることだと思っています。

また、環境という面を見るとコスメビオでは、オーガニックの蜂蜜を作る養蜂家がいれば、そこでオーガニックの花が育つということは生態系を守るエコシステムを作ります。

さらに、化粧品会社の中には、その蜂を守るべく、農薬や殺虫剤を撲滅させるべく取り組んでいるところも多くあります。

同様に、鳥の生態系を守るために自分たちの工場を鳥の避難場所にしてしまった会社さえもあるんです。

でもこう言った環境的取り組みについては、消費者にはあまり伝わっていません。

我々はもちろん伝えているつもりですが、しかしそれはメインの話ではなく、重きを置くのはやはり、いかにオーガニック製品が、それまでの既存の通常の化粧品よりも効果的かということになりますから。

 

Spring Step : 先ほど「ブラックリスト」について触れられて、化粧品を作るための成分の制限があることがわかりましたが、それに加えて環境を守るための制約、そしてフォーミュラは土に還る分解性があること、その3つがコスメビオの柱になるわけですね。

 

Romainさん : まさにその通りです。その3つが中心事項ですが、健康における側面や、環境面からの土の問題など、他にも考えなくてはならないことはまだ様々あります。

ですが、人間同士の平等性が進めば、自ずと環境も整ってくるとも言えるのです。

 

例えば、昔からコスメビオに参加しているサプリメントと化粧品のブランド、Guayapi Tropicalは、アマゾンのある民族と密な関係を築き上げ、その民族の人たちが収穫する数種の植物を使って製品を作っています。

彼らとの共同体が作られたことでフェアトレードが行われ、持続的な収穫が可能となり、もちろん児童労働などが行われることなく、民族に対するバイオパイラシーが防げたのです。

ここで言いたいことは、3つの倫理的事項も大事ですが、持続性のある発展といった他に改善して行くべきことはまだまだあるということ。

道は長いですが、そういった事柄にも取り組むべく、コスメビオでは特別な倫理委員会を定期的に開いたりもしています。

例えば、もし参画している会社が一度でも虚偽広告を出したりすれば、法的には会社を経営するにあたり問題がないとしても、その会社は即座に排除されます。

そのように、現在参画している460の会社全てに、できうる限りの透明性をうながしているのです。

 

Spring Step : (コスモスを認定する)エコサートの監査員はしっかり全ての成分を確認しますよね。SHIGETAの製品も、エコサート取得の際は、全ての成分とどこからそれが来ているのか、さらには購入履歴まで調べられました。そうすることで、何が正しくて何が正しくないかわかるということですね。

 

Romainさん : エコサートで調査するのは、成分のトレーサビリティと、ブラックリストを尊重しているか、そして入っている成分はきちんとオーガニックなのかということです。

ただ、どういった状況で成分が収穫されているかなどまでは、分析しようがないのでわからない。

そこで我々が、ネットワークを駆使して調査をする必要があるわけです。我々のゴールは、世界中に散らばるメンバーと共に確認をしながら、世界のオーガニック化粧品と成分に何が起きているかを把握することなんです。

 

4

Romainさんの提案するオーガニックなSTEP とは

 

Spring Stepさん : 最後に、今日からすぐ始められる、Romainさんお勧めのオーガニックにより近づくための簡単な“STEP ”をなにか一つ教えてもらえますか。

 

Romainさん : オーガニック初心者な人のためにお勧めしたいのは、まず一度オーガニックな製品を手に取って、試してみて違いをよく観察すること。

そしてふたつめに、農園や田舎、自然の多い場所に行ったら、有機栽培をしている畑とそうでないところを比べてみてください。

 

私自身もよく畑の前を歩くのですが、通常の農薬を使用する畑には全く蝶も虫飛んでおらず、まるでオープンエアの工場のよう。

ところが有機栽培の畑には、虫や蝶、雑草まで、様々な生き物が生息しています。

そちらの方がずっと美しいですし、生物の生きる場だと感じられるでしょう。

そうした違いを実感したら、自分が購入するものによってこの違いを生み出せるのだと、理解できると思います。

 

PROFILE

Romain Ruth ロマン・ルース / エコロジカル&オーガニックな化粧品を販売する企業団体機関”COSMEBIO“(コスメビオ)プレジデント。パリで弁護士として働き始めたのち、2010年よりコスメビオの財務担当として就役、2014年には同組織プレジデントの任命を受ける。コスメビオのロゴは、エコサート基準を満たしたオーガニック製品にのみつけることが許されており、同機関によって内容が保証されていることの証明となっている。https://www.cosmebio.org
Spring Step News Letter
のご登録