【オーガニック綿エキスパートにききました】オーガニックコットンって、何がちがうんですか?

Organic Lifestyle Ecology Special Interview
2018.05.29

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オーガニックコットンを選ぶ理由

Text / Hiromi Tani  Photo/ Pristine 

Spring Step : アバンティは28年前からオーガニックコットン製品の企画と製造をやられているそうですね。そもそもオーガニックコットンとは、どんな綿のことを指すのでしょうか。

 

奥森 秀子さん(以下奥森さん ): 定義としては、3年間以上、農薬や化学肥料を使わない土壌で栽培した農作物のことをオーガニック(有機栽培)と呼んでいます。

 

Spring Step : そんな手間ひまのかかる農法で栽培するのは大変でしょうね。そうして作られたオーガニックコットンは、そうでないものと何が違うのでしょう?

 

奥森さん : 世界中で安価なコットンが生産されていますが、その綿花には大量の化学薬剤が使われ、環境汚染の元になっているって、ご存知ですか? さらに栽培には発展途上国の子供たちの労働力が搾取され、過酷な作業による深刻な健康被害にさいなまれているんです。

 

Spring Step : えっ、ナチュラルなイメージのコットンが……。

 

奥森さん : 驚きますよね、でもこれが現状です。PRISTINEのオーガニックコットン製品は、ケミカルな物質や不当な労働力に頼らず、日本の技術でつくったもの。洗いや織りなどすべての工程において丁寧な手仕事をほどこしているので、手ざわりや肌ざわりが違い、使っていてとても気持ちがいいと、たくさんの声をいただいているんです。

 

 

Spring Step : プリスティンのオーガニックコットンは極上の使い心地ですよね! 昨今ではファストファッションやマスマーケットでもオーガニックコットン製品が売られるようになり、そこでオーガニックを知る人もいるようです。

 

奥森さん : 大量生産によってコストを下げているマスブランドを否定はしません。けれど私たちは、より安いものを大量につくることをしていません。それを追求することは、誰もが幸せになれるエシカルなものづくりに逆行することになると思うからです。

 

Spring Step : 日本の素材と技術でできる量、それに必要な正当な人件費。それを重視したものづくりということですか。

 

奥森さん : そう。消費に対する考え方も変わってきています。今の世の中、衣類にしてもアクセサリーにしても、もってない人はいないから、買うときに躊躇する。これもってるなとか、引き出しに似たようなのがあるなとか。

 

Spring Step : まだ着られるのに新しいの買ったの? って家族にいわれちゃったりとか。

 

奥森さん : でしょ? 良識ある人は消費に罪悪感を覚えちゃうんです。けれど、モノを買うことって、楽しみのひとつだし、この上ない喜びでもあると思うんです。

だったら、自信をもって買えるものを選んでみては? 環境に負担をかけずにつくられ、正当な対価が支払われた製品。しかも着心地や使い心地が抜群にいい製品。「私がこれを買うことで世の中がよくなる」「これが売れたら何かが変わる」、そんな考え方で、オーガニックコットン製品を手にとってみてほしいんです。
どれだけの人がものづくりのために手間ひまをかけたか。それが本来のラグジュアリーなのではないでしょうか。

2

女性は「神さま」?

 

Spring Step : これを読んでいる皆さんが今日からはじめられる、ホリスティックな毎日のための新しい”STEP”を教えてください。

 

奥森さん : 美しく健康であるために、自分自身を愛おしく思う気持ちをもつことからはじめませんか? 女性はね、みんな“神さま”だから。

 

Spring Step : 神さま、ですか?

 

奥森さん : そう。女性は子宮というお宮と産道=参道をもって生まれ、結婚すれば“カミさん”と呼ばれるでしょ。

よりよい社会や家庭をよくする役割を担った神のような存在なんです。

だから体調を管理しつつ明るく健康でいないと! がんばりすぎてしまう人も多いけれど、世の中を俯瞰して眺めるためには自分自身を大切にして、ときに甘やかしてあげることも必要。

 

Spring Step : 気質がまじめな日本女性は常に“ちゃんとしてなきゃ”っていう意識があるから、汝を愛せよといわれると躊躇してしまうかもしれませんね……。

 

奥森さん : そのために、洗って使うオーガニックコットンの布ナプキンで、自分と向き合ってみることを提案したいと思います。

その色や匂い、形状から、経血はすべてのことを教えてくれます。自分の体調やリズムはもちろん、心の状態まで表れますから。使うたびに洗うことでまさにそのときの自分を知ることができるんです。

 

 

Spring Step : 1995年の阪神淡路大震災をきっかけに開発された布ナプキンですね。オーガニックコットンならではの製品として使用する方も増えていると聞きますが、そんなにいいものなのですか。

 

奥森さん : 使い捨てナプキンに慣れていると、いちいち洗うのは面倒に思えるかもしれません。

それでも使ってよかったと思う方が増えているから、これだけ広がりを見せているんだと思います。

肌あたりがよいので、デリケートゾーンのムレや乾燥に悩んでいた方は、もう手放せないとおっしゃいます。

 

Spring Step : 布ナプキンを使うことで、何が変わるのですか?

 

奥森さん : 自分の経血を毎回洗うことで、色や量がチェックできます。経血はダイレクトに体調を反映しますから、たとえば“今回は量が多くて期間も長い、残業が続いたせいで疲れているのかな?”といったことがだんだんわかってくるんです。

 

慣れてくると、骨盤底筋を使って経血を出すタイミングをコントロールできたりも。体のちょっとした変化に敏感になったり、さまざまな気づきが生まれます。

面倒なものでしかなかった生理が、待ち遠しいとさえ思えてくるんですよ。これって究極の自分への慈しみですよね。

 

Spring Step : 使い捨てナプキンでは経験できないことばかりですね。でも毎回洗うのは大変ではありませんか?

 

奥森さん : これまでやってなかったことをはじめるには、勇気と覚悟はやはり必要。
でもできる範囲でできることからスタートすればいい。
もれるのが不安なら、まずは量の少ない日からはじめたり、布ナプキンの下に紙ナプキンを敷いたり。スポーツや登山のときは従来のものを使えばいいんです。洗うのは大変と思われるかもしれませんが、専用洗剤でひと晩つけ置きすればきれいになります。「試してみると意外に簡単」という声も多いんですよ。

3

自分を大切にすることが、社会を守る

Spring Step : 赤ちゃん用の布おむつも作っていらっしゃいますね。

 

奥森さん : そこからはじまりそこへ帰る。赤ちゃんからお年寄りまで。

そうした意味では、ものづくりの原点はおむつかもしれません。

 

今のお母さんは赤ちゃんとのコミュニケーションも変わって来ています。

昔は赤ちゃんが泣いたらまずお尻に手を入れて、おむつが濡れているのかどうか確かめたもの。

けれどおしっこ3回分を吸収する紙おむつを着けている現代の赤ちゃんは、おしっこが出ても気づきません。お母さんもお尻をさわるのではなく、時計を見て「あと○時間は大丈夫」と確認し、家事に戻ったりスマホをいじったり。

紙おむつによってスキンシップが失われているんですね。

 

Spring Step : 紙おむつによるごみの増加もいちじるしいとか。

 

奥森さん : 自治体が回収するごみの1割は、赤ちゃん用や介護用の紙おむつなんです。

これってすごい数字ですよね。

洗って使う布製にすれば相当な量のごみが減らせるんです。

 

Spring Step : 製品に色をつけないのもプリスティンのこだわりだそうですね。

 

奥森さん : 1枚のTシャツをつくるのに、染色に2700リットル=バスタブ30杯の水が使われるって知っていましたか? 

だったら人工の色をつけなくても、綿花のもつ風合いを活かした製品をつくればいい。

十分素敵なデザインになります。色をつけないことのもうひとつの理由は、コットンが本来もつ油分=うるおいを残すため。

この天然のうるおいが心地よい肌ざわりにつながるんです。そうした製品は長く使いたくなるもの。私は20年前のプリスティンのTシャツを今でも着ていますよ。

 

Sprig Step : えっ、Tシャツってそんなに長もちするものなんですか?

 

奥森さん : ジャパンクオリティは本当に優れているんですよ。そしてプリスティンでは長く使って汚れやシミができた衣類に、お色直し、つまり染め替えのサービスを行っています。何年も大切に使ってもらい、いい具合に油分がとれた製品をお預かりして、天然の草木染めで染色して差し上げるんです。するとさらに長く使えるんですよ。

 

Spring Step : 「買うことで誰かのためになる」という選択が、本当に意味のある消費になるわけですね。

 

奥森さん : そのとおり。自分を大切にすることが、周囲を、世界を、環境を大切にすることにつながるんです。綿花市場でオーガニックコットンが占める割合はやっと0.5%。それでも、面倒だと思われていた布ナプキンが今これだけ普及している。社会は確実に変わりつつあります。そしてそれは、私たち女性が出してきた答えといえるのではないでしょうか。

 

PROFILE

奥森 秀子さん Hideko Okumori  /株式会社アバンティ 取締役 ブランドディレクター・非営利活動法人 日本オーガニックコットン協会顧問

 

オーガニックコットンブランドPRISTINE(プリスティン)のブランドディレクターとして、製品の企画・製作を手がけるほか、産地や作り手など製品に関わるさまざまな情報を発信。日本におけるオーガニックコットンの第一人者として、繊維業界やメディアからの信頼も熱い。

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