【SpringStepローンチ記念イベントスペシャル対談】ファストファッション、ファストファニチャーのトレーサビリティを考える

Organic Lifestyle Ecology Special Interview
2018.06.07

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オーガニックコットンは作り手の顔が見える

SpringStepのリリースを記念して、5月29日にローンチイベントを開催いたしました。イベントでは、編集長のCHICOとゲストによるスペシャル対談を実施。オーガニックコットンのSkinAwareデザイナーの可児ひろ海さんと一般社団法人more trees事務局長の水谷伸吉さんからトレーサビリティのお話をうかがいました。

 

Spring Step : 可児さんは、元々はオーガニックに特に興味を持っていたわけではない、とお聞きしましたが、オーガニックコットンのインナーウェアやワンマイルウェアのSkinAwareを立ち上げるに至った経緯をうかがえますか?

 

 

可児さん : 私は2001年にCOCOONというブランドを立ち上げて、展示会で発表をしていましたが、展示会の直後にはファストファッションの店で、私がデザインして時間をかけて作った、しかも安くはない、同じようなデザインのものが売られていて、自分の作ったものも、自分自身も消費されてしまっているような感覚になっていました。そんな時にオーガニックコットンに出会ったんです。

 

オーガニックコットンに触れた時、まずそれがオーガニックかどうかという以前に、素材としての気持ち良さがあり、これをたくさんの人に身につけて欲しいと思ったら、創作意欲が湧いてきたんです。今の時代、ファッションは、大きな企業でないと生き残っていけないと思っていたのですが、この素材を使って飽きられない、ずっと大切にしてもらえるものを作ったら差別化ができると思ったんです。

 

Spring Step : 可児さんは、SkinAwareを立ち上げる前に、大手のアパレル企業でコンサルタントもされていたのですよね?

 

可児さん : そうなんです。グローバルなSPA企業の中国にある製造工場に行くと、大勢の人が列になって同じ作業をしているのですが、それを見て、「もしかしたら、私も彼らの立場になっていたかもしれない。そうしたらどういう人生だったのだろう」と考えていて、工場から帰るときには、いつも何となく気持ちが重くて。だから、誰が作っても同じものではなく、作り手の顔が見えるものを作りたいと思ったんです。

 

Spring Step : なるほど。人が携わっているのに、人を感じられないんですね。今の製品づくりはいかがですか?

 

可児さん : 今はこの製品はこの人、と言ったように、作り手の顔が見えます。植物の染めの行程では、自然のものは安定していないので、仕上がりが毎回違い、「どうしてこうなってしまったんだろう!?」ということもありますが、一緒に取り組んでくださっている方々の顔が見えることで、すごく支えられていると感じますし、そこに楽しさも感じています。

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大量生産の家具には違法伐採の木材が使用されている?

Spring Step : 大量生産というと、家具の生産に関しても様々な問題点があるようですが、水谷さん、お話を伺えますか?

 

水谷さん : 僕らは森林に関わる活動をしています。ファッションや化粧品って、ある程度はトレーサビ

 

リティが確保されていると思うんです。「Made in どこどこ」といったように。でも家具は出所のわからない木材を使った製品が圧倒的に多いんです。それに、消費者も何の木材を使っているかはわかっていても、産地までは分からなかったり、そこまで気にしていない方も多いのかなと思います。実際、家具は外国産の木材が使用されていることが多いのですが、それも合法なのか違法なのかわからない伐採現場から持ってこられたものが少なからず流通しています。

 

僕ら消費者が気にすれば、メーカーも原料調達をきちんと行うようになり、現場では違法な業者が閉め出され、オセロが変わって行く様に、新しい仕組みに作り変えていくことができると思うんです。

 

家具だけでなく、紙もそうなんですが。紙の話もしても良いですか?

 

Spring Step : ぜひお願いします。

 

水谷さん : みなさんがオフィスでよく使っているコピー用紙のお話です。日本人が一般的に使うコピー用紙の4枚に1枚はインドネシア産で、その紙に使われている木材はどこで伐採されたか不明で、かなりグレーな部分があります。だから、消費者として、少しだけでもトレーサビリティを気にかけてみてもいいと思います。

 

Spring Step : 木材の製品には認証があるんですよね?

 

水谷さん : オーガニックに認証があるように、家具と紙にもFSC®という認証があります。取得には厳しい審査があるため、取得している製品は、かなり信頼度が高いと言えます。欧米では、スーパーのレシートの紙にもFSC®マークが付いているものが多いですが、日本はまだまだです。こういう所からも変えていきたいですね。

 

 

Spring Step : フランスでは、スーパーマーケットでの買い物袋は有料で、土に還る素材か、再利用ができる素材のどちらかになりました。

 

水谷さん : そうですね。EUでは、プラスチックゴミによる海の汚染が問題になっています。深海の海底からもプラスチックが見つかったり、ウミガメやクジラがプラスチックを食べてしまうことが問題になって使用禁止になっています。しかしそうなると、紙袋の使用が増えますが、

紙袋に使われている木材がどこで伐採されたかというところまでクリアにすることが政策に含まれていると、僕は理解しています。

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今日からできるエコロジカルな STEPとは

Spring Step : お二人から、今日から読者のみなさんが実践できるSTEPのご提案をお願いできますか?

 

水谷さん : ファストファッションという言葉があるように、ファストファニチャーという言葉があり、今は安く家具が買える時代ですが、家に置く家具のなかで、ダイニングテーブルでも、ベッドでも、何か一つ、出所がわかる木を使った家具を置いていただけたらと思います。そして、できれば日本の木を使った家具を置いていただきたい。日本は戦後に林業を立て直そうと山に木をたくさん植えたことで、今その木が成長して飽和状態になっているので、むしろ使う必要があります。僕の家のダイニングテーブルは、宮崎県のある地域でできた木を使っています。産地だけでなく、職人さんの顔もわかっています。手で毎日触れて、木の感触を楽しみながら、大切に使用しています。

 

Spring Step : もはやテーブルも家族ですね。

 

水谷さん : はい。二代先くらいまで使えると思います。そういった長く使えて、愛着の湧いてくるようなファニチャーを家に置いていただきたいですね。

 

Spring Step : 可児さんはいかがですか?

 

可児さん : 私も水谷さんのSTEPに近いですが、本物を使うということですかね。私が最近気になっていることの一つが、香りです。今は合成香料が溢れていますよね。例えば、合成のローズの香りをローズの香りだと思って育って、本物のバラの香りを嗅いだことがないという子供もいるのではないかと思うんです。昔は食品も、コスメも、洋服の素材も染料も、植物や鉱物などの自然のものを生かしていましたよね。人間が後からそれを真似して「人工的」なものを作りました。でも本物の色って植物から取れた色であって、人間が後から作った色ではないと思います。

 

全てを本物にすることは難しいと思いますが、本物を知らずにいるのは残念だと思います。「本物」って、実はオーガニックだったり、植物の効能まで生かされていたり、様々な良いことを一緒に持っている「ホリスティック」なものなんです。

 

PROFILE

水谷 伸吉さん Shinkichi Mizutani/一般社団法人 more trees事務局長

1978年東京生まれ。慶応義塾大学経済学部を卒業後、2000年より㈱クボタで環境プラント部門に従事。2003年よりインドネシアでの植林団体に移り、熱帯雨林の再生に取り組む。

2007年に坂本龍一氏の呼びかけによる森林保全団体「more trees」の立ち上げに伴い、活動に参画し事務局長に就任。日本の森づくりをベースとした国産材プロダクトのプロデュースのほか、熱帯雨林の再生活動、カーボンオフセット、ツーリズム、被災地支援も手掛ける。

 

可児 ひろ海さん Kani Hiromi/オーガニックコットンのワンマイルウェア・インナーウェアブランド 「SkinAware(スキンアウェア)」 ディレクター。

2001年レディスブランド 「 COCOON (コクーン)」を立ち上げ、2007年まで東京 をベースにコレクションを展開。2004 年に、オーガニックコットンのウェアブランド 「Skinware」をスタート。 エシカルファッションの流れの先駆けとなった。2008年にCOCOON、Skinwareのコレクション休止。その後は様々なグローバルファッションブランドで、デザイナー、コンサルタン トとして、新ブランド立ち上げやブランドリニューア ルなどプ ロジェクトに参 画。また、サステイナブルをテーマにした愛・地球博(愛知万博)のユニ フォー ム製作なども手がける。
2014年Skinwareを再ローンチし、2017年ブランド名を「SkinAware(スキンアウェア)」としてリニューアル。

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