【#週末野心 コミュニティーを立ち上げた起業家ママに聞きました】NEXTWEEKEND 代表 村上萌さん

Lifestyle Special Interview
2019.05.30

1

今日でもなく、3年後でもなく、次の週末に出来ることをまず考える

Text & Photo : Spring Step 

SpringStep : 萌さんは、1児のお母さんでありながら、商品や空間、イベントのプロデュース業や、次の週末に取り入れたい理想の生活を提案するコミュニティメディア「NEXTWEEKEND」の運営や企業のブランディングなど、色々なお仕事をされていますよね。萌さんが起業したのはいくつの時ですか?

 

村上 萌さん(以下萌さん) : 私が起業したのは24歳の時です。大学を卒業して1年半後に会社を立ち上げたので、就職はしていません。今の夫とは大学2年生の時に出会ったのですが、彼は18歳からプロアスリートとして活躍していて、付き合い始めた時にはすでにJリーガーでした。私は、この人とずっと一緒に居たいと思っていて、そうなると仕事はどうするか、移籍の多い職業だし、移籍の度に転職して毎回1からスタートするのは現実的ではないと思い、就職活動も色々としましたが、一人で仕事を作ってみようと思いました。

当初は事業計画なんてほとんどなく自分が社会に対してお金をいただけることを模索しながら、ひたすらできることをしていました。数ヶ月先の見通しが立った時に法人設立はしたものの、ほとんどフリーランスとしてお仕事を受けていました。でも、当時インターンとして私の仕事を手伝ってくれていた大学生4人が卒業を迎えた時に、このままみんなとお別れすることがとても悲しかったのと同時に、自分はなんて再現性のない仕事をしているのだろうと思い、彼らを正社員として雇うことを決めました。腹をくくったということです。

 

SpringStep : 萌さんが代表を務めるコミュニティメディア「NEXTWEEKEND」の構想は初めからあったのですか?

 

萌さん : いいえ。起業当初は、自分が唯一説得力をもって伝えられる、女性向け企画にプロデューサーとして参加していたものの、一歩間違えれば“夢見るニート”であることがバレないように必死でした。とにかく長い肩書(当時はライフスタイルプロデューサー)を名乗って、色々なプロジェクトに参加していました。プロジェクトに参加させていただく時に、「今日でもなく、3年後でもなく、次の週末にユーザーが欲しいと思うためには」ということを念頭に置いて、企画を考えていました。

友達の相談に乗っているときも同じですが、「今日こうしたら」と言うと、みんな何となくもうわかっていることですが、「3年後こうしたら」というと他人事になってしまう。でも、「次の週末こうしたら」というとみんなが元気になる絶妙な距離感だと気がついたんです。

後から振り返ってみると、マーケティングの観点からも、次の週末というのは人の背中を押せるちょうどいい距離感なんです。そこから自分のコンセプトをブランド化しようと思い「NEXTWEEKEND」を始めました。今でこそメディアになっていますが、初めは「NEXTWEEKEND」というコンセプトを持って活動するプロデュースチームだったんです。基本はクライアントを相手にした仕事だったので、これでは自分たちのコンセプトを伝えきれないと思い、ウェブサイトをスタートさせました。サイトをスタートして2年くらいが過ぎた3年前に、出版社から雑誌にしませんかという依頼をいただきました。今は雑誌を出しつつ、ウェブマガジンとしてやっています。

 

SpringStep :  プロデュース業は今でも続けていらっしゃるんですか?

 

萌さん : はい。コンセプトを大切にしているメディアなので、基本的にクライアントワークはすべてNEXTWEEKENDの世界観でプロデュースさせていただいています。

ブランドや商業施設、地方自治体など取引先は幅広いのですが、最近は、デベロッパーからの依頼も多くて、マンションのプロデュースも行っています。私も知らなかったのですが、マンションはまず土地を購入してから、その場所に合ったコンセプトを考えるというプロセスになっているんです。

マンションの建設予定地を訪ねて、その場所でどのような暮らしを提案するのか、植栽や共有部分をどうするのかといったことをプロデュースしました。それだけでなく、購入検討者がまず訪れるマンションギャラリーも一緒にプロデュースしました。プレハブで作られたギャラリーの中で模型を見る、というのが通常ですが、それではつまらないので、私たちのコンセプトに沿ったモデルルームを作りました。

さらに、なかなか足を運びにくい内見も、「理想の暮らしを考える”フェス”」のように展開しました。この案件は、クライアントにもこれから住む方にもとても喜んでもらうことができました。

クライアントの要望をただ聞くだけであれば他の会社にも出来ますが、私たちのようにコンセプトをきちんと持っているからこそ突き進めることがあると思っています。

 

SpringStep : 萌さんはきっと引っ越しが多いと思いますが、色々な家に住みながら家づくりを学ぶということもあるのですか?

 

萌さん : そうですね。プライベートでの引っ越しはとてもいい経験になっています。

 

写真提供 NEXTWEEKEND / マンションプロデュース例

2

すべては自分が選んだ道、その事実を受け止めて楽しむ

Photo : Moe Murakami

 

萌さん : 子育てもそうですが、私はプライベートと仕事の境目がない生活をしているので、それによって適度に気も抜けているし、楽しむことができていると思います。その生活をみんなが出来るわけではないかもしれませんが、仕事や家事をしながらも志向を変えてみることは出来ると思います。そうしないと、毎日がただ「忙しい」で終わってしまいます。北海道、東京、大阪と移動の多い私の生活も、事実だけを文字にするとすごく大変そうに見えるので、それを楽しむようにしています。

 

SpringStep : 具体的にはどのように楽しんでいますか?

 

萌さん : 細かいTIPSは色々ありますが、根本は全て自分が選んできたことだということを忘れないことです。忙しくなると誰かのせいにしがちですが、全部自分で決めたことだという事実を受け止めることが大切だと思います。私の場合、自分で決めて移動の多い相手と結婚したので、細かい不満は出ません。

あとは、例えば夫の夕飯を作るときに、いつもは使わない少し変わった食材を買ってワクワクしたり。

 

子育てに関していえば、自分がとても焦ってしまう出来事が娘に起きた時に、私の母がその時の娘を見て「本当にかわいいね」と言って笑ってくれたことがあったんです。それにとても救われて、自分が笑ってしまえばその場が楽しくなるんだということに気がつきました。それからは何かあってもイライラしたり、周りに気を使いすぎたりするのではなく、楽しむことにしました。新幹線で子供が泣いてしまったら、デッキで中島みゆきさんの「時代」をものすごくこぶしをきかせて歌ったたりとか。もちろん小さい声でですけどね!そうしたら、駅員さんもとても優しくしてくれました。子供は親の顔をすごく見ていて、親が楽しそうにしていれば笑ってくれる。楽しんでいれば必ず相乗効果が生まれると思うんです。

 

よく、子育てと仕事の両立は大変だねと言われますが、仕事で子供と物理的に離れる時間があると、子供が余計に愛おしくなったり、逆に、仕事から離れているときは仕事の悩みが俯瞰でみられたりして、どちらも楽しむことができています。子供を預けることに罪悪感を覚えるお母さんがとても多いようですが、ずっと一緒にいることで親がピリピリしていたら子供は幸せでないと思うんです。

仕事や夫婦生活だって同じかもしれません。私のように2拠点生活を送ることは、誰もが実践出来ることではないですが、出来る範囲で「寄り」と「俯瞰」のバランスをうまく取れるような環境を作ることをお勧めしたいです。

 

SpringStep : “3歳までは一緒にいてあげたほうがいい”とか、きっとみんな誰かに言われたことが心の中に残って罪悪感を感じてしまうんでしょうね。

 

萌さん : 私は東京に滞在している間はオフィスに通勤していますが、夫と住む大阪にいる間は、どこかへ通勤するわけではなく在宅ワークなので、子供を預けなくても自宅で仕事が出来るのですが、仕事中はどこへも連れて行ってあげられず、相手もしてあげられません。だとしたら、無理やりそばに置いておくよりは、数時間だけでも預けて仕事を終わらせた後に、公園で思いっきり遊ぶという方法を取っています。そのほうが効率が良くて、お互いに幸せだと思うんです。働くお母さんたちはどうしても、負い目を感じる状況が出来てしまいますが、それをなるべく無くす環境を自分で作ることが、精神的にも大事だと思います。

 

子供にとって幸せなことよりも、「世間からみた自分」や「親から見た自分」というように、みんな自分目線になってしまっていると思うんです。SNSやネットを見すぎていて、情報が多すぎることも原因かもしれませんね。不安の元は情報過多。全く同じ状況の人はいないので、答えをネットの中で見つけようとしないほうがいいと思います。

 

3

モヤモヤは小出しアウトプットで解消

Photo : Spring Step

萌さん : お母さんに限らず、モヤモヤしている人がたくさんいるように感じます。NEXTWEEKENDでは月に2回お悩み相談を受けていて、その中で「自分はこのままで良いのか」といったお悩みがとても多いんです。そうゆう人たちは、情報のインプットが多すぎるのではないかと思います。

私の場合は、自分の思いを企画に変えたり、取材で言葉にしたり、SNSで発信したりと、こまめにアウトプットをしていますが、インプットだけをしている人は、情報はたくさん持っているけど、自分の考えを誰にも伝えないので、自分の輪郭が分からなくなってしまっているのだと思います。インプットとアウトプットはバランスが大切なんです。

 

SpringStep : 私も人って何かの形で表現をすることによって、消化されると思っています。言葉にしたり、文字で書いたり、絵を描いたりすることで自分が客観的に見えてくるということですよね。

 

萌さん : もったいぶらずに小出しにアウトプットするといいと思います。色々な情報に振り回されて、「こんなはずがない」「いつか大きいことをしてやろう」などと思っていても、急に変わることは出来ません。思ったことを今言葉にすることで、明日は昨日言ったことにさらに肉付けされて言語化されているかもしれませんよ。

 

SpringStep : 私も若い時は自信がなかったので、自分はこのままで良いのかと焦っていた時代がありました。人を癒すという仕事をしているのに、こんなに平和に暮らしていたら人の痛みがわからない、つらい体験をしなくてはいけないと思ってフランスへ行ったのですが、もちろん辛いこともたくさんあったけど、それを考えている暇がないほど日々の暮らしで精一杯だったし、そもそも自分が行きたくて行ったので苦しくはなかったですね。

 

萌さん : 自分で選んでいることを自覚するのは本当に大事ですよね。

何かモヤモヤしているという人は、自分は何をしたら幸せなのかが分からないのかもしれません。自分は何が好きなのか分かりません、という人が本当にたくさんいるんです。絶対に好きなものはあるはずなのですが、それを言語化して人に伝えてこなかったために自覚が出来ないんです。

 

SpringStep : まさにうちのスタッフにも、趣味がないし、自分の好きなものが分からないという女性がいます。仕事もして、ちゃんと自立もしているのに、自分の好きなものが分からないということに私はすごく驚きました。そういった人たちは、目の前にあることだけにひたすら頑張ってきて、自分自身に目を向けてきてこなかったのかもしれないですね。

 

萌さん : もしかしたら趣味を趣味と思っていない可能性もありますよね。そういう人たちはとても真面目なんだと思います。例えば、コップにお水が半分入っているとき、「やったー半分入っている」と思うのか「まだ半分しか入っていない」と思うのか。前者のほうが絶対得ですよね。

雑誌やSNSに出てくる人たちと自分を比較してしまいがちですが、自分の”好き“を言語化出来るようになれば、人と比較しようがなくなりますよね。

旦那さんとの関係でモヤモヤしているという人も、もしかしたら、旦那さん自身に不満があるというよりも、そのことを言えないために毎日モヤモヤしてしまっているのかもしれないですし。まずは、小まめに伝える練習をするといいと思います。

 

SpringStep : 私は、心のさざ波をそのままにしないことを心がけています。さざ波を置き去りにするから急に爆発してしまうんですよね。

 

萌さん : やはり小出しアウトプットが大切ですね。人によっては難しいと感じるかもしれませんが、小出しにしたほうがいいです。「いつか言ってやる」と思っていても絶対にその「いつか」は来ないと思うんです。言いたいことがいっぱいあると思っていても、実際に言ってみるとこれだけだった、ということもありますしね。

実は、NEXTWEEKENDの裏テーマは、単に次の週末を楽しみましょうということではなく、「いつか、を次の週末に叶えよう!」なんです。言語化してみると、「いつか」まで待たなくても、すぐに出来ることだったりもするんです。

 

私は大きな夢を持っていなかったことがコンプレックスだったのですが、だからこそ次の週末にやることが明確で、それは着実に叶えてきました。そして、それが夢だということに気がついたんです。みなさんにも、意外と自分の周りには楽しいことがあるということに気がついてほしいです。

次の週末に向けて自分の考え方を変えるだけで、大きい決断が出来るようになることもあるんですよ。

 

4

日々を楽しむために同世代へ一番伝えたいことは?

 

萌さん : いつも楽しそうに見える人も、何もしないで楽しく過ごせているわけではなくて、楽しもうとしているから楽しそうに見えるだけなんです。でもそれはすごく大事なこと。今はSNSのせいで、“完璧な正解”のように見えるものがたくさん目に入ってきてしまうけれど、それが答えではないということを知ってほしいです。

 

でも、「いいな」というのはすごく良い視点なんです。それはその人の価値観だから。「いいな」をただの「いいな」や妬みで終わらせるのではなくて、なぜそれに「いいな」と思ったのか、いいと思ったところを参考にすればいいんです。その気持ちを糧にしながら自分ならどうするかを考えると、そこには必ず行動と工夫が生まれます。「いいな」を紐解いて、自分なりに改善すると、きっと明日出来ることが見つかると思います。

 

PROFILE

村上萌 Moe Murakami / ライフスタイルプロデューサー

今より少し先の理想のライフスタイルを提案するメディアブランド「NEXTWEEKEND」代表。「おてんばな野心を、次の週末に叶える」のコンセプトのもと、季節の楽しみと小さな工夫を提案。年に2回の雑誌刊行、その他空間やイベントのプロデュースなどを行う。

http://nextweekend.jp

Spring Step News Letter
のご登録