【世界のVIPに愛される鍼灸師に聞きました】プチ不調の「原因」、自律神経とうまく付き合う方法を教えてください

Way of living Lifestyle Special Interview
2020.11.05

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トラブルの原因は生活習慣にある

Photo&Text Spring Step 

Spring Step : 橋本先生は、世界のVIPが訪れるウェルネスリゾート、Chivasom(チバソム)で鍼灸師をしておられます。橋本先生の技術に惚れ込んだ滞在客は、毎年滞在する度に施術を受けられるほどで、スケジュールがいつも予約でいっぱいの大人気の鍼灸師です。チバソムは、世界中の国際企業のエクゼクティブが体のリセットに訪れる場所で、ゲストの多くが極度なストレスに身を置いて暮らしている方々です。

今回は、橋本先生にストレスが及ぼす自律神経の乱れをどのようにケアしたら良いのか、お伺いしたいです。


橋本聡先生(以後橋本先生)  : 不調の原因はライフスタイルにあります。具合が悪くなった原因がわからなくては直せません。そのため、治療に入る前に暮らしの習慣についての質問をたくさんしています。この質問の回答が治療のヒントになるのです。

 

つまり、何がその痛みの原因となっているのかを知ることが何よりも大切で、肩こりの治療だからといって、そこに効果があると言われている経穴(ツボ)に鍼を打つだけでは、根本的な治療にはならないため、また痛みが戻ってきます。

鍼灸師やホリスティックなメソッドというのは、不調のサポートはできるけれども根本的な改善は、自分で変えなくては治りません。つまり、ライフスタイルの見直しです。

ただ、現代はどうしても受け身の人が多くて、スペシャリストにやってもらって治すものだと思われがちなのです。

私が治療をする際にも、どこからその不調の原因が来ているのかを伝えています。それをきちんと守った方は、次回リゾートに来られた時に、体が全然変わっています。反対に、それをしなかった人は、また同じ問題を抱えて来られるので『またですか!』となるわけなんです。


Spring Step :  なるほど、期間をおいて同じゲストの方々と毎年会われているから、その差がよくわかりますね。


橋本先生 :  そうなんですよ。不調の原因を無視して同じ生活を続けている人は、同じトラブルを繰り返します。例えば、同じ生活習慣をしていても、肩がこる人とこらない人がいますよね。

ちょうど昨日スタッフで首が回らない! という人がいて、長時間のデスクワークのせいだと本人は言っていたのですが、私が、お通じはどうか、よく眠れているか、など様々な質問をしてみたあとに、腎臓、脾臓、肝臓の経絡に治療を行ったらすっかり良くなりました。首の痛みの原因は、首が硬いことではなくて、体が限界ですよーというサインなんです。体は言葉を使えないから、私たちをストップさせるために、痛みを信号として出すんです。

その時に、「無理してるのかな?」と思うか、「薬を飲めばいいや。」と思うか。そのどちらかで全然違います。もちろん薬で痛みは止まるかもしれないけど、根本的に治っている訳ではありません。だから、体は痛みをもっとエスカレートさせることで、信号を出し続けていきます。これを繰り返していたら、大変な病気になりかねないですね。


現代の暮らしでは、もしかしたら難しいかもしれませんが、何かしらの負荷やストレスフルな暮らし方を見直すことが大切です。


Spring Step : そうですね。立ち止まることを怖いと思ってしまうかもしれませんね。

 

橋本先生 : はい。でも立ち止まって、リセットすることは大切です。私もこれまで立ち止まることをしなかったことで、パニック症候群になってしまった方や、他にも大きな手術や重い治療が必要な病気になってしまった方たちを数多く見てきました。そうなってしまってからでは、元も子もありません。

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まず、自律神経を理解する。

Photo: Shutter Stock 

Spring Step : 何を持って負荷と思うかも人によって違いますよね。


橋本先生 : その通りです。ストレスを楽しみながら乗り越える人もいれば、苦しさだけを感じる人もいる。

かつて斎藤一人さんの話の中で、大変な時にしょんぼりと「ダメだなぁ」というよりは、大きく元気な声で、「ダメだ! ダメだなぁー!」と言ってしまったほうが、なんだか気持ちが楽になるといことがありました。今は苦しいけれど、これはきっと神様が与えてくれた試練だと思う。神様は乗り越えられない高さの壁は与えないそうなんです。

物事はなるようにしかなりませんから。その考え方ひとつで、交感神経、副交感神経の働き方が違います。


Spring Step : それは驚きですね! 例えば、元気がでなくて、その元気のなさがまたさらに後ろ向きな考えに陥らせてしまうときには、自律神経系に働きかけるだけでも何か変わりますか?


橋本先生 : はい。自律神経には、交感神経と副交感神経があって、交感神経は、私たちが日中活動をしているときに働き、副交感神経は夜休息しているときに働いている神経です。元気を出してポジティブになるには交感神経の働きが高まることをしてあげると良いでしょう。体を動かしたくないという時でも、運動をすれば、交感神経を活発になってやる気が出るんです。朝はちゃんと起きて太陽を浴びることも大切です。もうダメだー! とふて寝をしては、ますますやる気がなくなるんです。


Spring Step : そうですね! だから昔から「お天道様を浴びなさい!」と言うのはそういう由来があるんですね。


橋本先生 :  また、例えば引きこもりの子で生活パターンが昼夜逆になってしまった方がいるとします。陽が昇ると寝て、夜になったら起きる。それは完璧に副交感神経が過多になってしまう生活習慣なので、当然家から外に出たくなくなります。体が重すぎて、外に出るのが大変になりますから。

朝起きたら、日光を浴びれば、交感神経が上がり、副交感神経が自然と下がります。規則正しい生活というのは、健康の基本なのです。

 

また、ファスティングをすると交感神経が上がります。だから、元気がなければ食べるのをやめればどんどん元気が出てきます。

暮らしの中で、交感神経も副交感神経も、どちらもバランスよく機能していれば健康です。この乱れが実は多くの不調や病気そのものの原因となるんです。


交感神経と副交感神経の2つは、シーソーのようにどちらかが過多(働きすぎ)になることで、どちらかが過少になるとよく言われているのですが、臨床によるとそうではないことがわかっています。

交感神経も副交感神経もどちらもそれぞれ独立しているので、場合によっては、交感神経も副交感神経もどちらも過多というケースもあります。交感神経が過多の場合には、副交感神経を高めるのではなく、まず交感神経を休めることをします。


私は、現在主に井穴刺絡(せいけつしらく)という手法を使って治療しています。日本の医師浅見鉄男先生によって創設されたこの革新的手法は、そもそもの不調や病の原因は体全体の交感神経と副交感神経にあると臨床によって導き出され、また五臓六腑それぞれの交感神経に働きかけて治療をしていく独特の手法です。

私自身15年以上伝統的な鍼治療をしてきた時、なぜ鍼で結果が出ない症状があるのかと考えた時期がありました。自分の腕に問題があるのかと悩みました。そして、以前聞いたことのあった井穴刺絡の話を思い出して実践してみたところ、本当に驚くほどの結果が出ました。しかもすぐにです。とにかくビックリしました。

この手法は、われわれ鍼灸師が学ぶようなたくさんの経穴を知らずとも、経絡の末端、つまり手、足の爪の脇にある場所に刺激をすれば誰でも結果を出すことができます。私たち鍼灸師が施術にあたる際には、そこに小さな鍼を刺して30滴出血を出しますが(出血により脳神経中枢に刺激を送る)、家で自分でケアをするときには、そこにイヤーシード(耳ツボ用の小さな粒)やシリコン製の鍼(触れても全く痛みを感じない)を使って刺激をするだけでも十分効果を感じます。

この方法は、鍼灸師が施しても、素人が施しても同じ結果が出る手法です。

 

私自身、最初は半信半疑でやり始めましたが、私の目的はお客様の不調を改善することです。その効果を見ればもうやり続けることしかありません。また通常の鍼を使った治療ではないので、西洋のお客様方には、とても受け入れられやすいですね。

この井穴刺絡という手法は、創設者の浅見先生の意志を継いだ、福岡のぎんなん治療院の稲舛茂俊先生が、薬いらずになる、誰にでもできる方法だからと、大変わかりやすく誰でも学べるように無料で教えています。(Youtubeから症状別の治療法を閲覧できます。

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プチ不調のケア方法

Spring Step : 先生、井穴刺絡は本来ならば、お話と触診で診断をしてから施術を行うものだと思いますが、経絡の場所を知らないような私たちでも、置き鍼、イヤーシード(耳つぼシール)やシリコン製の痛くない鍼(ハペパッチ)を使ってできそうなケアの方法はありますか? 多くの女性が抱える、「病気ではないんだけれど・・・」というプチ不調をリストにしているのですが、(先生にリストを見せる)私たちでも自分でできる治療法があればぜひ教えてください。

 

橋本先生 :  そうですね。もちろん、より正確な診断は実際にお一人お一人の体を診てみないとわかりませんが、このリストのうちの多くは、副交感神経過多が原因です。つまり、「現代病」です。長時間座って仕事していることによって起こる確率が高いですね。運動と早寝早起きによってもかなり改善されるはずです。交感神経を優位にしていくことでもある程度の改善はみられるはずです。

 

Spring Step : そうなんですね!

 

<基本的なケア方法>

イヤーシード(またはシリコン製の鍼)を使う。

貼る場所は、図の点のある場所、つまり、爪の角の周り1〜3mmの場所に貼ります。

 

ケアの周期

本気で体質改善を考えたい方は、下記の周期で行ってみてください。

1週目 週5日間行う

2週目 週3日間行う

3週目 週2日間行う

4週目 休む

 

翌月また同じ周期で。

 

貼るタイミング

副交感神経過多をケアしていくときには、昼間貼りそのまま一日過ごしても構いませんが夜は剥がします。

交感神経過多をケアしていくときには、夕食が終わった後から貼り、朝になったら剥がします。

 

副交感神経過多のケア

副交感神経過多を下げる時には、下記の場所にイヤーシードを貼ります。

手の薬指の爪の小指側の角

足の薬指の小指側の角

交感神経過多

交感神経過多を下げる時には、下記の場所にイヤーシードを貼ります。

手の人差し指の親指側の角

足の小指の爪外側の角

 

*これは医療行為ではありません。効果は人によって個人差があります。

 

■偏頭痛

偏頭痛には、いくつかの種類がありますが、筋肉が硬くなるような痛みは交感神経過多の場合が多いですが、そうでない頭痛や生理痛は副交感神経過多になっていることが多いので、そのような場合には効果的です。また以下のような偏頭痛をお持ちの方にも効果があります。ただ、痛い時だけケアをするのではなく、普段からきちんとケアをすることが大切です。

 

・週末頭痛さん 

ウィークデーは、たくさん働いて常に交感神経過多の傾向にあり、週末は飲みに行ってゆっくり寝るぞー! という方に多い。週末になると急に副交感神経が優位になって頭痛になりやすい。

 

・お天気頭痛さん

梅雨の時期、気圧の変化で頭痛になりやすい方ですが、気圧の変化は副交感神経が優位に立ちやすいために頭痛になりやすい。

 

■お腹の張り

ストレスのある生活をしているとお腹が張りやすくなる。肝臓と胃はとても近くに位置していますが、実は胃の消化は肝臓のサポートによって成り立っています。五臓六腑それぞれの気の巡りの相関関係というのがありますが、肝機能の気が下に行かずに上に行ってしまうと、胃のサポートではなく、胃の働きを阻害することになるためにお腹が張りやすい。

 

■消化不良

運動しているときにはご飯が食べられないように、交感神経が活発なときには食事はできません。運動を終えて、副交感神経が上がってくると交感神経が下がっていきます。消化は副交感神経が上がっていないとできないものなのです。胃がもともと弱い人ももちろんいますが、消化不良は胃痛の原因にも。

 

■冷え

低血圧、交感神経、副交感神経の乱れによって冷えやすくなる。冷たく冷えている人には、交感神経過多により、体が硬直し、血管が締まっているので冷えやすくなる。体が硬直していると、巡りが悪くなりやすいのは、体は主要なところに血を集めようとする特性があるため、手の足、足先のような先端に血液が回りにくくなる。

 

■肩こり、首こり

使いすぎによって痛みがでる人もいるが、副交感神経が高すぎてこる人もいる。それは、副交感神経が過多になると、体がむくむため、関節を回しにくくなる、動きにくくなるという現象が起きる。

 

■足や体のだるさ

副交感神経を下げて、交感神経をあげると、むくみが取れてしなやかに。

 

■目のかすみ

目を集中させると交感神経が働くので、副交感神経過多になることで目がかすみやすい。副交感神経が過多ということ。朝起きたときに目が霞んでいる人は、副交感神経が優位になっていることで起きる現象だが、子供は特に副交感神経が優位なので、このような現象は起きやすい。

パソコンの使いすぎによる目のかすみは、目の焦点が合いにくくなった場合、座りすぎによって副交感神経が優位になった場合が多いので、一度席を立ち、外の景色を眺めたり、スクワットなどして体を動かすこと。

 

■目の痙攣

ストレスによるものだが、副交感神経、交感神経のどちらも行うことがお勧め。

 

■めまい

血圧が高めでめまいがする人は、交感神経が過多ですが、高血圧が原因ではなくめまいがする人は、副交感神経が過多の人が多い。

 

■鼻づまり

アレルギーによる鼻づまりは、副交感神経が高いので交感神経を優位にしていくために運動をすることや食事に気をつけることがとても大切。(アレルギーを引き起こしやすい食品、小麦、卵、乳製品などの摂取量が多くないかを見直す。)それと合わせて、副交感神経をケアしていくことがおすすめです。

 

■耳鳴り

天気や気圧の変化による耳鳴りの場合には、副交感神経過多の場合が多い。

 

■アレルギー性のトラブル

肌のかゆみ、蕁麻疹、呼吸器系など。副交感神経過多によってアレルギーになることが多く、交感神経を優位にさせるような生活習慣を心がけることと、副交感神経のケアをすること。

 

■眠りのトラブル

副交感神経が日中優位に働いていると、頭のキレが鈍り日中に眠くなりやすくなる。脳が昼と夜の区別がつかない状態になっている。また、そのような場合夜になると交感神経が高まってくるため目が冴えてきて眠りづらくなる。

交感神経過多で、なおかつなかなか眠れない人の中には、交感神経を下げられないために眠れない人もいる。

 

PROFILE 

橋本聡 / 鍼灸師、指圧師 

世界有数のリトリートリゾート専属鍼灸師を歴任。

COMO Parrot cay, COMO SHAMBHALA ESTATEを経て、2011年よりタイにあるCHIVA SOM International health resort にて施術を行っている。一度彼の施術を受けたゲストは、それ以降毎年必ず滞在中数回の再予約を取る。また滞在中に予約を入れても取れないため、ゲストは到着日のかなり前から予約を入れている、CHIVASOMで最も人気のあるプラクティショナーの一人。

 

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