【人気イラストレーター関根 正悟さんに聞きました。】平凡からオンリーワンになるまで

Lifestyle Special Interview
2018.07.19

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ごく普通な人生がある日突然…

Illustration Shogo Sekine / Text Spring Step 

Spring Step :  関根さんの一度見たら忘れられないイラストレーションと心にスーッと入って元気付けられるメッセージはInstagramでも大人気です。CHANELやレスポートサックとのコラボも記憶に新しいところです。イラストの締め切りがほぼ毎日あるというくらいオファーが絶えないそうですね。

 

関根さん : ありがたいことに、依頼をいただくプロジェクトの規格は大小さまざまです、実は、僕29歳まで平凡なサラリーマンだったんです。

 

Spring Step : えっ!?

 

関根さん : 全てがごく普通で、何をして良いのか、何が好きなのか全くわからない、どこにでもいる29歳で。イラストレーターとしてのキャリアもまだ5年です。

 

Spring Step : つまり、それまでイラストを描いていなかったということですか?

 

関根さん : グラフィックデザイナーとして会社で働いていました。でも絵を描いていたわけではないんです。29歳になって、少し責任と自信がついてきた頃に、ふとチームとしてではなく、個人として評価されたいと思ったんです。僕らは折り込み広告を作っていたので、消耗されてしまうものではなくて、しっかり記憶に残してもらえるものを作りたいなと、ふつふつと思い始めたんです。

 

実は僕、それまで中途半端な人生を送っていたんです。9歳でNYから日本に戻ってきた帰国子女だったんですが、勉強も部活でもなんでもうまく行かない冴えない暗黒時代がずっと続いてまして… 、親の思い描いていたような、「関根家の長男」には全然なっていなかったんです。なさけない長男でした。29歳でイラストレーターになりたいと思ったのは、とある洋書で、イラストレーターでイラストを描き、絵本も書いている、という方のインタビュー記事を読み、職業一つであちこち横断できるということを知ったことがきっかけなんです。でも僕、いざイラストレーターになると決めたものの、イラストレーターとしての仕事の目処が立っていたわけでもないどころか、イラストを描いたことさえなかったんです。お先真っ暗とはこのことでした…。

 

Spring Step : 無意識に「これだ!!」って思うところがあったのですね、きっと。

 

関根さん : でも事務所もなければ、先輩も後輩もいないんです。ただ、もし先輩みたいな人がいて、その人に「大変だよ」と言われていたら、この道を選んでいなかったかもしれません。自分でも根拠がどこにあったのかわからないですが、とにかく後には引けないから、イチかバチか!といった感じです。

 

Spring Step : そこからイラストを描く練習を始められたのですか?

 

関根さん : そうなんです。美大を出たわけでもないので、最初は専門学校の資料を取り寄せてみたりもしましたが、ふと、独学って強みになるかもしれないと思ったんです。

 

 

関根さんのイラストレーションで製品化されたプロダクトの例

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One of them からオンリーワンへ

 

Illustration : Shogo Sekine / Text : Spring Step 

Spring Step : 30歳からスタートして、このスピードでこれほどまでの人気イラストレーターになるとは、やはり才能がおありだったんですね!それにしても、それまで全然イラストを描いたことがないのに、イラストレーターになる!と決めてしまうなんてすごいですね。

 

 

関根さん : いえいえ。そう、まるで神に誘われるかのように。。。今の生活は29歳までの生活と真逆で、毎日新しい人と出会って、いろんなプロジェクトのオファーがある。いまだに夢の中にいる感じもしているので、「この夢醒めないで!」と思っています。そもそもこれまでの29年間、人に褒められるようなことは無かったし、ましてや親に認められるようなことも無かったのに、イラストレーターになって初めて人に褒められるし、人に必要とされている、僕の代わりがいないということを生まれて初めて体験しています。

前職の仕事を辞めて3ヶ月くらい経ったところで、元の同僚と会ったのですが、「僕が抜けて大変じゃない?」って聞いたら「全然大丈夫っすよ」という返事が返ってきたんです。つまり、それは僕でなくてもいい仕事だったんです。今思えば、すべての経験が役立っています。グラフィックデザイナーの仕事も、帰国子女だったことで英語を自然に使うことができることも。

 

Spring Step : 29歳まで助走だったのでしょうか?

関根さん : そう、かなり長めの助走。でも息切れしていないという。

 

Spring Step : 関根さんのメッセージに共感する方が多いのは 助走時代の視点から、みんなの気持ちがわかるからなんですね。

 

 

関根さん : オンリーワンになるには、人と違うことをするということだから勇気がいるんです。今まで僕は、目立たず、騒がず、周りと馴染んで集団に入って生きてきたけど、この不思議な転機を通して、仕事も変わって急にハングリー精神も出てきたました。僕の仕事はNo.1でないと意味がない。常に必要とされることで生きる意味合いを感じるといいますか。

 

photo : Shogo Sekine  

 

Spring Step : 29歳までの関根さんと比べるとすごく違いますね。

 

関根さん : そう、前は500位どころか、チャートに入れればいいくらいだったのに!今トップを目指したいという気持ちは、さっきも言いましたが、きっと必要とされたいという願望がものすごく強いからだと思います。それは、きっと必要とされたことのなかった僕が、それを初めて味わった時に大きな快感を味わったからかもしれない。でも必要とされる限り、期待に応えたいって思っているし、「なぜ僕なんだろう」をしっかり考えています。僕は、助走が長かったぶんきっと高く飛べると思うし、ずっと飛び続けたいと思っています。JUMPじゃなくて、FLY ね。息長く飛び回りたい!

 

もしも、あの時この選択をしていなかったとしても、きっと僕はそれなりにハッピーだったと思うんです。でも今の選択をしたことで、自分自身この瞬間を精一杯生きて、今この瞬間を愛している、そんなことを思える自分が本当に不思議です。ヒマだったから、週末が来るのを待ち望んでいただけの以前の僕とは大違いです。仕事ひとつで人生はガラリと変わってしまいました。

 

Spring Step : ヒマだった時、ヒマなことに焦りを感じることはありましたか?

 

関根さん : それを感じることさえありませんでしたよ。たんたんと日々をこなしてた感じでした。

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あの言葉はこうして生まれた!

 

I hope my future loves me.

未来は自分で作るもの。平凡すぎた過去から未来を見て自分のがんばり次第で未来が変わる。だから、将来の自分が今の自分を見て好きでいてくれたらいいなって思って書きました。僕はそもそも自分のこととかそんなに好きじゃなかったけど、やっと今になって初めて自分のことが好きになってきた気がします。

 

 

Be the type of person you want to meet.

「会いたい!」って思われる、憧れの人になりたい。会って、この人の話を聞きたい!って言われる魅力的な人になりたいです。

 

 

Nothing replaces work.

僕、友達とごはんを食べに行くことよりも仕事を優先してしまうんです。どんなプロジェクトでも、リサーチにもとても時間がかかるので、時間がとにかく惜しいんです。ごはんに行った後でオフィスに戻ってイラストの練習をすることもあります。

 

 

Whether you’re happy or not depends on which you think you are.

ハッピーかアンハッピーかというのは、自分の考え方次第です。今僕は自分が幸せだと思う。それは仕事の中で「関根さんでよかった」と思われる結果を残すためにベストを尽くしているからかもしれないですね。自分は何のために働いているのかという僕自身の答えにフィットしている。そして僕はちゃんとクライアントのニーズに応えているのか、必要とされているのか。商業的な目線も欠かせません。

 

All illustrations :  Shogo Sekine 

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関根さんの提案する、人生を変えるために踏み出す初めのステップとは?

 

 

Illustration Shogo Sekine / Text Spring Step 

Spring Step : 変わりたいけど今一歩踏み出せない助走中の方は多いと思います。そんな人たちに向けて、関根さんが提案するステップを教えてください。

 

関根さん : よく、「好きなことを見つけてください」って言うじゃないですか?あれって結構乱暴なことですよね。だって、ないから悩んでるんですよ、みんな。最終的に見つかればいいんです。僕も見つけたのは30歳ですよ。29歳で確認したことは、「僕は何で働くの?誰のために働くの?で、それはこの先生きる中で楽しいの?」ということ。自分はどう見られたいのだろうと客観視すること。僕は自分の名前で仕事をして、人の役に立ちたいという欲望でした。

 

 

好きなことが見つかったら、それにトライするのは何歳だっていいと思います。大切なのは、まずトライすること。失敗したら戻ればいいんです。無謀はだめですけどね。

 

昔憧れてた職業、パン屋とか花屋とか、30歳から始めるには勇気がいるけど遅くはない。まずは真剣にそれに向かってみることだと思います。みんな予想の空想の中で迷って、できないと思いがちです。でもトライが可能な環境だったら、絶対やってみることだと思います。そしてその初めのトライは、人に宣言しすぎないことも秘訣ですね。でも、夢ややりたいことは口に出したほうが叶いやすい気がしています。ぜひ。

 

PROFILE

関根 正悟さん SHOGO SEKINE /イラストレーター

1983年、東京都生まれ。幼少期をNYで過ごし、2013年よりイラストレーターとして活動開始。ファッションイメージをベースに、タイポグラフィーや記号、図形などを自由に組み合わせたイラストをスタイルとし、雑誌・広告・WEB・アパレル・プロダクトなど様々な分野にてアートワークを提供中。

Instagram : @shogosekine0319

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