【気候活動家モデル、小野りりあんさんに聞きました】私たちにもできる、地球へのアクションって何ですか?(後編)

Way of living Women's life Organic Lifestyle Green Tech Special Interview
2022.05.12

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TEXT: Shiho Tokizawa /  PHOTO : HAL KUZUYA

小野さん:先日あるミーティングに行ったときに、情熱的なおばちゃんに出会いました。彼女がなぜ気候変動の活動をしているかというと、孫の目をまっすぐ見られないからだそうです。孫の世代にどんな地球が残るのかを知ってしまうと、目を見ることができない。だから、“自分にできることは全部やったよ”って目を見て言えるように頑張るって。彼女のやる気の源は完全に孫なんですね。このように、多様な理由で活動している人がいることを知ることも大事だと思います。モチベーションは一人ひとり違っていいし、何が人を変えるかはそれぞれです。

 

CHICO:活動されているといろんな情報が入ってくると思いますが、今1番気になっていることは何ですか?

 

小野さん:どうしたら“日本のみんな”と取り組みができるかなって。私は、私の感じる危機感や思いのレベルと近い人と活動したいのですが、それはどうしたら可能になるんだろうかと。自分が考えていることを、どうやったら他の人にも共有していけるかなって考えています。というのも、現状の日本の環境活動の状況を知っている人たちが考える“日本の場合はこうやって活動しないといけないよね”という方向性が、私にはマッチしていないんです。自分に嘘をつくことになってしまうというか……。それは苦しいやり方だと思っていて。大事だなって思うことをごまかしたりせずに、ありのままにやっていきたいんです。

 

CHICO:日本的なやり方ですと、どんなところが苦しいんですか?

 

小野さん:みんながまず一歩を踏み出せるようにタスクを小さくするのは大事だと思う。だけど、そこにフォーカスし過ぎるせいで、本当に必要とされている社会へのインパクトがある行動までみんなを引っ張り込めてないように思います。私はもっと勇気ある行動を選ぶ人が増えることが大切だと思っているので、オーディエンスに歩幅を合わせるのではなく、逆に自分たちの行動にみんなを引っ張り込む方法を選びたいんです。SDGsやサステナブルなライフスタイルなどももちろん必要です。だけど、ここまで人類の危機が迫っている時だからそれよりももっと勇気ある行動をしたいと思う人に出会いたいですね。

 

CHICO:それってレイヤーがあるのかなって思います。鉈(なた)で草を刈りながら獣道を進むのが、今のりりあんさんの立場で、その後ろに道を作る人がいて、さらにその後ろに歩く人がいるっていう。りりあんさんは、道なき道を作っている人ですよね。その立場にいる人って孤独じゃないですか。でもそれは、ビジョンと勇気があるからできると思うんです。とはいえ、後ろに道を作ってくれるチームは必要ですね。

 

小野さん:1人のリーダーにみんながついていく体勢じゃなくて、コレクティブな形がいいと思う。そうじゃないとパワーになりきれないから。“りりあんもリーダーだけど、私はこのテーマでリーダーだし”っていう感覚を持った人が集まったチームを築きたいという感じですね。

 

CHICO:そういう人がいろいろなところでそれぞれの道を作っていくというような。心に響くテーマが掲げられていれば、入り口はどこであれ、みんなが感化されていくと思うので。道なき道を作る人が、いろんな方向から増えてくるといいですよね。

 

小野さん:私は日本で育ったけど、一般的な家庭ではなかったから、みんなのやり方がいまいち分からないというのがありますね。“日本ではこういう風にやっていくのがいいよ”って言われても、“分からない!”ってなるから。

 

CHICO:共感できなかったら、ちょっと私にはハマらないって言い返したいですよね。

 

小野さん:そうやって、いわゆる「日本のやり方」を聞いていると、“私の考えは日本では通用しないのかな”って思っちゃう。だから、そんなに自信を持って活動できているわけではなくて。いつも期待しないで試しにやってみて、これはイマイチだな、これは意外といいなって。反応を見ている感じです。

 

CHICO:きっとそれが、今の答えなんじゃないですか? 自分がやったことに対してしか、答えって返ってこないですからね。だから自分で“これはワークする!”って思ったことを信じてやっていくのが1番なのかなって。それでいいと思います。日本は一般論を言いたい人がすごく多いじゃないですか。仕事をするたびに、誰かを説得しないといけない。ミーティングに一般論を語るおじさんが出てきたり(笑)。

 

小野さん:もうそれがカルチャーですよね。やっぱり、日本のカルチャーを変えないといけませんね。

私は、みんなを巻き込みたいという願望があって。それができないのがもどかしいんです。周囲を巻き込まないと達成できないこともあるし、誰も排除しないやり方をしたいなと思っていて。だから、そういうおじちゃんがどうしたら参加できるのかなって考えちゃいます。そういう人たちへの窓口もないと、本気の変化は作れないんじゃないかなって思ったりして。

 

CHICO:私は、りりあんさんが“私はこれを変える!”ってはっきり主張することが、1番人がついてくる方法だと思います。伝える場所が多ければ多いほどいいと思うんですけど。人って感動すればついてくると思うんです。りりあんさんがどうしたいか、何を伝えたいかということ、そこに情熱をかけている姿を見せることが、1番巻き込み力があると思います!

 

小野さん:そうですよね。2年間ほど頑張って、思いつくことは全部やってきたんです。でも、自分がリーダーになれなくなった時に、動きが止まったりするわけなんですよ。自分がずっと動き続けていないといけない。それって持続性がないなって思っていて。自分のエネルギー頼りになってしまうから、そうじゃない方法も探っていきたいですね。

 

CHICO:仲間を募っていくという意味で、一緒に学べる機会があるといいかも。人って学ぶと自信がつくじゃないですか。

 

小野さん:私もそれはいいなって思っていて、考えていました。やってみます!現状の社会構造にも疑問を持っているので、例えば受講料を寄付にしたり、無料で受講できるようにしたり、様々な形で貢献できるような工夫をしたいですね。

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CHICO: りりあんさんが目指す社会とは、どんな社会ですか?

 

小野さん:結構シンプルです。人も、いろんな命も、ありのままでのびのび(・・・・)と生きられる社会がいいなと思っていて。女性なのか男性なのかとか、年齢、障害を持っているのか、セクシャリティとか人種や所得とか、人間なのかとか、いろんなことを含め、すべて関係なく「命」として大事にされることが必要だと思います。今の社会は分断していて、社会的な役割を無意識に担わされている気がしていますが、そのせいで自分らしく生きられなかったり、人を偏見の目で見たり、人間の方が他の命より重要だと位置づけたりしていますよね。そういう文化も全部変えていきたいです。そもそも、他の生物がいないと人間は生きていけませんから。

 

CHICO:本当にその通りだと思います。

 

小野さん:じゃあなんで、人間以外の生物の存在が脅かされてしまったの?と考えると、それぞれの命よりも利益が優先されてしまったからに行きついたんです。そのせいでここまで壊れちゃったのだから、逆にそれを解決するとなった時は、技術的な部分や政策に、“命を優先する”というベースがないといけないと思います。そういうところも含まれてこないと、結果的に全部解決はできないのかなって思っていて。

 

 

CHICO:確かに命の大切さってどこでも教わらないですよね。私も今まで生きてきて、誰にも教わったことないなって。今聞いていてハッとしました。

 

小野さん:自分だけパーフェクトでも、周りがハッピーじゃないとハッピーじゃないですよね。自分の周りもハッピーになって、初めて本当のハッピーが生まれる気がする。どこまでが視野に入っているかによって答えも変わってくるんですよね。自分の家族だけ生き残れたらいいやっていう時の答えと、すべての命をイキイキさせたいって思った時の答えって絶対違ってくるから。自分の幸せの枠、視野を拡げて未来を描くのが大事だと思います。

 

PROFILE

小野りりあん/モデル・気候ムーブメントクリエイター

89年八戸生まれ札幌育ち。Spiral Club共同設立。

Green TEA ~Team Environmental Activists発起人。できるだけ飛行機に乗らず、気候正義活動家を尋ねる世界一周の旅の実践から、気候変動情報&アクションを発信。

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