【京都の薬膳料理家が語る】 料理とは食材に身を委ねること

Organic Lifestyle
2019.02.14

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お弁当という一つの世界

Spring Step : 有紀さんのインスタグラムで拝見しているお弁当が、本当に美味しそうで、季節を感じる野菜が使われていて、見るからにヘルシーな感じも伝わってきます。今回、Spring Stepのために春のお弁当のレシピの考案をお願いしたのは、(来週木曜日にアップ予定) 有紀さんのお弁当が、私たち編集部の憧れだったのです。


青山有紀さん(以下有紀さん) : そう言っていただけて本当にうれしいです。(笑)

私は、お弁当が大好きなんですが、この一年ほとんど自分のためだけといっても大袈裟ではないくらいに、朝起きて楽しくお弁当を作っていました。

時には、賀茂川のほとりで食べたり、食べきれない分はご近所さんに配ったりしながら、改めてお弁当の良さを実感していました。


Spring Step : 有紀さんのご近所さんにぜひなりたいですね。笑


有紀さん : お弁当って作った時に食べるのと、箱にぎゅっと詰めて、しばらくしてから食べるのと味が違うことをご存知でしたか?


Spring Step :  え?!そうなんですか?でも言われてみればそんな気もします。


有紀さん :  不思議なんですが、箱に詰めて、それぞれのおかずをぎゅーっと詰めて蓋をしておくと、おかず同士がなんだか箱の中で協力しあって熟成でもしたかのように違う世界を作っているんです。

そして味見した時と違ってぎゅっと箱に詰められたことで、味にふっくら感がでるんです。だから毎回自分で詰めたお弁当の蓋をあける時「はじめまして!」っていう気持ちになるんですよ!私は自分で中身がわかっていても、お重を開いた瞬間にときめくんです。笑


Spring Step :  そのときめきのために大切にされていることはありますか?


有紀さん :   私のお弁当作りで大切なことは、季節が中に入っていること、そして自分が踊っている感じがすることかな。

風味、食感、香りをリズミカルに楽しむことが大切なんです。切り方一つで味わいも変わります。全部くったりとした食感は、リズム感にかけるから、シャキッとしたものと合わせます。同じような色や味付けにならないように、お味噌を使ったり、梅を使ったりすることで変化を出しています。お料理が苦手だと思っている人は、意外といつも同じような調味料を使っていたりするんです。

お弁当は、作る目的がはっきりしていれば世界がどんどん広がります。

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野菜に身を委ねてみよう

 

有紀さん :  私は、世の中には人間の意思だけでは動かないものがあるような気がしています。だから、煮ものやスープなどに関して言うと、慌てて味付けすることは、なんだか素材を無視して、自分のエゴで野菜に余分な味をかぶせてしまうような気持ちがしてしまうんです。私たちが、お風呂に入って、「わーリラックスするなぁ!」 って感じるように、まずお野菜をコトコトと火を入れたら野菜にお任せします。すると、野菜がじわーっとどんどん良い味を出してくれるんです。「そろそろどうですか〜?」って味をみると、少し塩を入れるだけで十分だったりするんですよ。

だから、野菜を煮る時にはすぐに調味料や野菜ブイヨンのキューブを入れずに、まず野菜に委ねてみるんです。


Spring Step :  野菜に身を委ねる!


有紀さん:  はい。母が作ってくれたもので、作る度に味が違うものがあって、「毎回味が違うね」って言ったら、「当たり前やん」って言ったんです。その言葉にハッとしました。季節によって、野菜の状態が違うことは当たり前。だから当然野菜の味も同じではありません。違って当たり前なんですよね。

だからもう鍋の中の世界にお任せするしかないんです。お任せして、あわてないこと。これしかありません。まず時間を置く。そして、迷ったらさらに置くこと。


それって、野菜にだけではなくて、私たちの生き方そのものにも同じことが言えるのではないかとも思います。流れに身を委ねるということです。自分のエゴで、やりたい!と思ってもどうにもならないことがあったり、どうしても上手くいかないことがあったりしますよね。

 

Spring Step :  本当にその通りです。お料理一つとっても同じようなことが言えるんですね。野菜が一番正解を知ってるということですか。


有紀さん :  そうそう。


SpringStep :  楽しくお料理ができるようになるためのステップをぜひ教えてください。


有紀さん :   私は料理も学び、薬膳も学んできましたが、まずはやはり食材におまかせすることだと思います。焦らずおまかせすると自然に美味しく作れて上手になります。上手になると、作る喜びが生まれます。

お料理って得意でなくても、やっているうちに上手に手早くなります。私自身も、お店のお客様に育ててもらったと言えるくらい、お店を出してから成長したんですよ。

最初はレシピを見て、計りながら作ると思いますが、そのうち味見だけでできるようになります。そうやって料理が上達する自分の成長を限りなく楽しんでもらえたらいいなと思います。作り慣れてきたら、私のレシピは一つのヒントとして、ぜひ自分流にしてみてください。


自分のことをたった一言で表現することが難しいように、世の中には目に見えないことや、言葉では現せないことがたくさんあると思います。だからこそ、私自身も思い込みや知識だけで料理を作らないようにしています。食材と良い信頼関係を作ることを大切にしていきたいです。

有り難いことに、京都は野菜が本当に美味しくて、自然農法の野菜が手に入りやすいですし、山に野草を摘み行くおじさんもいて、旬の野草をお願いすることもできるんです。だからこそ、素材に任せるのが一番確かだと再確認しています。これからもそんな素材を生かした作り方をしていきたいですね。


Spring Step :  来週アップの有紀さんの春のお弁当のレシピを、皆さんに楽しみにしていただきたいですね。

 

 

 

 

PROFILE

プロフィール

Yuki Aoyama 青山有紀さん / 料理家、国際中医薬膳師

元青家オーナーシェフ。京都市内で料理屋を営む母と韓国薬膳に精通した祖父母に囲まれて育つ。

生まれ育った京都のおばんざいと幼い頃から食べてきた韓国家庭料理の素晴らしさを伝えたいと、美容業界を経て2005年東京中目黒に京おばんざい屋「青家」を、2010年京甘味処「青家のとなり」をオープン。現在は2店舗ともに閉店し、京都にて新規店舗オープンの準備中。

料理本18冊(毎月の薬膳ごはん12か月の薬膳レシピ薬膳で楽しむ毒だしごはん毒出しベジべんとう)、京都案内本1冊出版。企業の商品開発、雑誌や企業へのレシピ提供、講演会など行っている。出身地の京おばんざいとお菓子を中心に、ルーツである韓国料理、薬膳料理、インド伝承医学

アーユルヴェーダにも従事している。

青山有紀さんのインスタグラム

 

 

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