【四角大輔さん×CHICOのインスタライブ配信】 切り離せない、子育てと仕事の向き合い方 ~後編~

Way of living Organic Lifestyle Special Interview
2022.11.20

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よく休んでいる国ほど 生産性、投票率、幸福度が高い

TEXT : Madoka Natsume / PHOTO : Daisuke Yosumi 

Spring Step編集長、CHICOとニュージーランド(以下、NZ)の湖畔でサステナブルな自給自足ライフを営む執筆家、四角大輔さんによるCHICOのInstagramで行ったライブ配信でのトークを紹介します。

テーマは大きく分けて「子育て」と「仕事の向き合い方」の二つ。前半では子育てを中心にお話しましたが、後半はお互いの仕事に対する価値観、具体的な時間管理について掘り下げます。

 

前編はこちらから

 

 

CHICO : 4年という歳月をかけてようやく完成した、働き方メソッドの集大成『超ミニマル主義』。この本を書いたきっかけって?


四角さん :  日本が抱える大半の社会課題が“働きすぎ=忙しい”に原因があると気付いたから。忙しくて――「寝ない、ちゃんと食べない、運動しない(=体と心の病)」「困ってる人を助けない、環境意識を持てない、選挙に行かない(=無関心)」とかね。何より「休まない」ことで、「自分を失ってしまう」「パートナーや子どもに優しくなれない」という問題がもっとも深刻だと思って。NZでは、残業はしないし、週末は絶対に休み、必ず1ヶ月以上の休暇を取る。平均睡眠時間は世界一長くて約9時間(笑)。それでいて生産性は高く、幸福度も高い。選挙の投票率は8~9割!しっかり休む習慣のある北欧や南欧の国々も同じ。フランスもそうだよね?


CHICO : そうそう、フランス人はプライベートな時間をとても大切にしているから、バカンスをしっかりとるよね。大ちゃんはレコード会社に勤務していた時代も、しっかり休んでいたんだよね?


四角さん :  週末にライヴが入っても代休を使い「週休2日」は確保してた。「毎月3連休」「季節ごとに4連休」「毎年9連休」をマイルールにして、最長記録は20連休(笑)。


CHICO : すごい! でも、人気アーティストを担当していて、数々のNo.1セールスを記録したわけだから、忙しくないわけないよね。それなのに、しっかり休めることができた。死に物狂いで働いているのかと思ってたよ。


四角さん :  膨大なタスクを、独自の時短術で最速処理してた。その全技術をまとめたのが『超ミニマル主義』。一人でも多くの人に、労働時間をミニマル化して、人生と自分自身を取り戻してもらいたくて。僕が長期間にわたってヒットを出し続けることができたのは、ダラダラ働かず超集中し、しっかり休んでいたからこそいいパフォーマンスを維持できたからなんだ。


CHICO : 私もちゃんと休まないと仕事できない。すごく疲れていると要領が悪すぎるよね。30分でできることも恐ろしく時間がかかっちゃう。しかもやる気もでないし、まとまらないし……。


四角さん :  僕が自給自足ライフを営み、完璧に近い生活習慣を追求しているのは、体と脳パフォーマンスを極限まで高めるため。最高レベルの集中力を手にして、さらなる時短を実現するため。効率化のためにデジタルデバイスをフル活用しつつ、集中力維持のために“オーガニックデバイス”と呼ぶ自分の肉体を何より大切にしてる。


CHICO :  集中力が高ければ高いほど、いいアイデアが降りてくる!


四角さん :  そうだね。何より仕事があっという間に終わる。今いちばんやりたいことは“子育て”だから、その時間を1秒でも確保するために作業のムダを徹底的に省く。タスクを増やさないための工夫、タスクを大胆に減らす方法、残ったタスクを最短時間で終わらせる手段を真剣に考え抜く。


CHICO :  大ちゃんのその術をマスターすれば、人生がますます楽しくなりそうだね!


四角さん :  山を何日間も歩くバックパッキング登山や、数ヶ月かけて世界を巡る移動生活に夢中になったり、予算が億単位のプロジェクトをいくつも手がけてきたけど、そのどれよりも子育てが楽しくて。


CHICO :  おー、ラストピースが揃ったわけだ。


四角さん :  おもしろいことに「子育て」によって、究極の働き方と超時短術が完成したんだよ。


CHICO :  『超ミニマル主義』はビジネス書というカテゴリーではあるけれど、マスキュリンな実用書ではなくて、それこそ、女性のキャリア形成、子育てがひと段落して、これから仕事と向き合いたい人への大事なヒントがたくさん詰まってる。


四角さん :  働くママや、セカンドキャリアに挑む女性にぜひ読んでほしい。時間を味方に付けて、人生を豊かにしたいと願うすべての人に捧げたい。

 

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“仕事は究極の遊び”。 仕事を愛せないと、人生を愛せない。

 

 

CHICO :  子どもと過ごす時間って楽しいだけじゃなく、新しい視点や考え方が得られるんだよね。


四角さん : 子育ては最高に楽しいプロジェクトだよね。“仕事は究極の遊び”と言っているけど、子育ても究極の遊び。人生の経験すべてを活かせるのがいい。


CHICO : それすごくわかる! クリエイティブなこともそうだし、ネガティブなこともそう。自分のライフスタイルを見直すきっかけもくれるし、人生のプライオリティの優先度がはっきりする。


四角さん :  CHICOちゃんって、SHIGETAをスタートするにあたってキャリアプランとかあったの?


CHICO : ぜんぜん(笑)。仕事が大好きだから、仕事がおもしろいから、働きたいだけ。好きなことを仕事にしているから、面倒なこともネガティブなことも大したことではないの。もともと私が楽天家ということもあるけど、楽しくてしょうがない。私にとって、SHIGETAは人生そのものだから。


四角さん :  CHICOちゃんはまさに、“仕事を愛せないと、人生を愛せない”の体現者だよね。


CHICO :   仕事とプライベートの境界線がないんだ。旅もすぐ仕事に活きるし、仕事でのネガティブなことも人生に活かされる。


四角さん :  子育てが仕事にもたらしてくれるギフトもあるよね!


CHICO :  もちろん! 私にとって原動力=エナジーは“JOY”。それをいつも与えてくれるのが、子育て。だから、毎日バッテリーをチャージしている状態なの(笑)。


四角さん :  わかる~!クリエイティビティはどう? 発想力とかアイデアとか?


CHICO :  それはびっくりするぐらい高まったかな。私の場合、アイデアって降ってくるもので考え抜くものではないから、そこまでの時間がものすごく短くなった。子どもってクリエイティブの塊だから、一緒にいるとどんどんチャージされる。


四角さん :  子どもは圧倒的に自由で、発想や行動に制約がない(笑)。子ども一緒にいると、僕はさらにクリエイティブになれるよね。子どもは「小さな大自然」みたいな存在で、常に大人の予想を超えてくるから、反射的な“創意工夫力”が鍛えられる。


CHICO :  うん、子育ては“創意工夫の筋トレ”だね。「さあ、どうするか⁈」ってさ、いつも問われているように思う。


四角さん :  子育てに比べたら、仕事のほうがラク。子育ては、コントロール不能な大自然を相手にするようなものだから。

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仕事とプライベートの 時間を切り離すのは不自然

 

四角さん :  暮らし方も働き方もどちらも大事で、二つで一つ。そこに子育てが加わると、両者はよりリンクしていく。仕事ができる人は、子育ても家事も得意なはず。だって、子育てや家事こそ、最大のクリエイティビティが求められるから。


CHICO :  仕事は時間が長いから人生のウェイトが大きい。人生の『時間』と『空間』を考えたとき、時間の中に仕事があるから、切り離すほうが不自然だよね。人生の『時間』に入ってくる要素はどこも外せないから、一緒に考える。

私ね、国がどこであれ、どんな環境でも、パートナーシップさえ平和であれば何とかなるって思っているの。つまり、いろんなことが解決されると思う。フランス人って子育ては一緒にするものと考えているから(※CHICOさんの夫はフランス人です)。


四角さん :  僕もまったく同じ考え!そしてNZも、男性は子育てにも家事にもフルコミットするのがあたりまえ。日本もそんな社会になってほしいな。

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大きなものを手放した後により大切なものがやってくる

 

四角さん :  僕はパンデミック前年の2019年に、複数の会社の役員、定期連載、プロデュースの仕事をすべて手放すと決めたの。それは、『超ミニマル主義』の執筆に集中するため。ずっとNZの湖畔に引きこもって書いてたから、不要なネット情報には触れず本のための参考図書だけ読み、友だちは減って本質的な友だちだけ残った。


CHICO :  大ちゃんって、“断捨離”がうますぎるよね(笑)。


四角さん :  定期的に大きなことを手放すのが習慣になっていたから、何も怖くないの。


CHICO :   そこだよね、私たちの学びは。人間って執着しやすい生き物だから。


四角さん :  人間って本能的に何かを得ようとするから、脳は手放すのを拒否する。でも経験上、 “大きなものを手放した後に、もっと大切なもの”が手元にやってくるんだ。この循環を繰り返しながら人生をデザインしてきたから、僕はそう断言できる。


CHICO :  おーーーーっ。


四角さん :  「あれが欲しいからこれを手放す」という打算的な発想ではダメで、何がくるかわららないけど、「違和感を感じる大きな荷物」をまずは手放す。その後はもう天に任せる。その時、両手がフリーだからさっと掴めるわけ。でも、両手に荷物がいっぱいで重荷を背負っていたら、大切なことさえも逃してしまう。


CHICO :  そうだね、身軽だから何でもキャッチできるし、吸収できる。それで、大ちゃんはどんな大きなものがやってきたの?


四角さん :  50歳にして、第一子がきてくれたんだよ。さらに、手放して得た時間をすべて本の執筆に費やせた結果、人生の集大成の本『超ミニマル主義』も完成した。


CHICO :  なるほどね。そのノウハウが大ちゃんの本には詰まってるんだね! 

 

 

 

四角大輔さんの過去記事一覧

 

連載01:「2000万枚のプラスチック製品をバラまいたぼくが、森に暮らすわけ」

連載02:「オーガニック&サステナブルライフ〜自給自足への挑戦」

連載03:「なぜ、森の生活でベジタリアンになったのか」

連載04:「ニュージーランドにみる〝女性性〟とサステナビリティ」

連載05:「あなたは元の世界に戻りたい? アフターコロナへの願い」

連載06:パラダイムシフトの春と新世界の夜明け  

 

PROFILE
四角大輔 Daisuke Yosumi

 

執筆家/森の生活者 /Greenpeace Japan & 環境省アンバサダー
レコード会社プロデューサー時代に、10回のミリオンヒットを記録した後、ニュージーランドに移住。
湖畔の森でサステナブルな自給自足ライフを営み、場所・時間・お金に縛られず、組織や制度に依存しない働き方を構築。
第一子誕生を受けてミニマル仕事術をさらに極め、週3日・午前中だけ働く、育児のための超時短ワークスタイルを実践中。
ポスト資本主義的な人生をデザインする学校〈LifestyleDesign.Camp〉主宰。公式サイト〈daisukeyosumi.com〉。Instagram〈@daisukeyosumi〉。ポッドキャスト〈noiseless world〉。
著書に、『人生やらなくていいリスト』『自由であり続けるために 20代で捨てるべき50のこと』『バックパッキング登山入門』など。
新刊『超ミニマル主義』好評発売中。

 

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